インタビュー

detroit7

クラシック・ロックの歴史をシンプルかつソリッドな3ピース・バンド・サウンドのなかに凝縮させ、その音の渦の中央で女性ロッカーの新しいカッコよさを見せつける菜花のヴォーカルとギター。以前から耳早い音楽ファンの間では噂になっていたバンド、detroit7が初フル・アルバム『1LOVE』をリリースした。2005年に猛威をふるうであろう彼らに早速接近!!!

  デトロイトというと、真っ先に思い出されるのは、モータウン・ソウルやテクノ……なのかもしれないが、古くはMC5やストゥージズ、アリス・クーパー、最近だとホワイト・ストライプスを輩出し、映画「デトロイト・ロック・シティ」の舞台にもなった文字通りロックな街である。そのイメージを継承するかのように、〈デトロイト〉という言葉をバンド名に戴いたdetroit7は、しかし、そのいかついイメージに反して、菜花という飄々とした女性をフロントに立てた3人組ロック・バンドである。

「ストゥージズというか、イギー・ポップが大好きなんです。どこがと言われると、全部としか答えられないんですけど、しわくちゃになっちゃった今も格好いいですよね。ただ、ガレージ・ロックだけ聴いてきたわけじゃなく、ロックはUK、US、どちらも聴くし、ツェッペリン、ドアーズ、ヴェルヴェッツ、テレビジョン、マンチェスターもの、マイブラ……挙げたら切りがない(笑)」。(菜花:以下同)

 ボブ・マーリーやストーン・ローゼズの曲名を想起させるタイトルの初フル・アルバム『1LOVE』を前に、ジミ・ヘンドリックスやカート・コバーンと同じく左利きのギタリスト/ヴォーカルである菜花はそう語る。おおよそ、クラシック・ロックというクラシック・ロックを通過してきたのではないかと思える彼(女)らは、継承した様々なロックの形をシンプルな3ピースのサウンドに凝縮し、体温の高まりを揺るぎない菜花のヴォーカルと共にガツンと叩き付ける。

「土台にあるのは、ストーン・ローゼズとかUKモノだったりするんですけど、でも、私があんまり好きじゃないスミスをベースの古田島くんが聴いていたり、ドラムの田部井くんはテレビジョンやヴェルベッツが好きなんだけど、ポスト・ロックも聴くんです。そこは私と違うところなんですけど、そういう要素が混ざり合って、3人の音になってると思います」。

 ロックと一言で言っても、歴史や理論、方法論やフォーマットによって細分化されている今という時代にあって、一発録りを基本に、ほとんどダビングをしないでレコーディングされた本作は、あらゆるものを貫くような衝動性が、無言のアンチテーゼであるようにも思える。

「メンバーが3人しかいないからシンプルになってしまうし、シンプルにしようっていう気持ちもある。もしかすると、それしか出来ないってことかもしれないけど(笑)」。

 冗談めかして、そう語る言葉の端々に自信の程が伺えるdetroit7。激しく降り注ぐ音と言葉の先から、更に巨大な台風がやってくる予感がひしひしと伝わってくる彼(女)らは、相当に要注意な存在である。

detroit7『1LOVE』


1. Inside
2. HOWL
3.2:27 am(試聴♪
4. This side of paradise
5. 1LOVE(試聴♪
6. いびつな花
7. Raymond
8. Ordinary Madness(試聴♪
9. SHOT MY RIGHT TEMPLE
10. Burn American Flags
11. Golden Globe
12. COME ON(VIDEO)
13. SHOT MY RIGHT TEMPLE(VIDEO)

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2005年02月03日 13:00

更新: 2005年02月04日 19:51

文/小野田 雄