インタビュー

SUM41

紆余曲折を経て強固なパンク・スピリットを 手にしたヤツらが、ふたたび全速力で走り出す


 ギターのデイヴ・バクシュの衝撃的な脱退から1年、サム41が3人編成となって初のアルバム『Underclass Hero』を、初のセルフ・プロデュースで完成させた。というわけで、フロントマンのデリック・ウィブリーとベースのコーンに話を訊いたのだが、そこでちょっとショッキングな事実を知ることになった。前作『Chuck』のリリース後、バンドは行く先を見失い、存続すら危ぶまれる状況だったというのだ。そして、デイヴ以外にも周囲にいた大勢の人間が去っていったのだと語る。

「オレたちの中で100%ヤル気になってたのは、自分とコーンとスティーヴ(・ジョックス、ドラムス)だけだった。結局この3人だけが残ったんだよ。オレたちは言ってみれば、バンドとして過去最低の地点から、このアルバムを作り始めたんだ。目の前に立ちはだかっている壁を、ずっと押し続けてるような感じだったね」(デリック)。

「そう、すごく大変な時期だったんだ」(コーン)。

 しかし! 意を決して立ち上がった3人は、とんでもないことをやってのけた。多くを語る必要はあるまい。とにかくアルバムを聴いてみてほしい。サウンドの一音一音から放射されるエネルギー、楽曲及びアレンジの多彩さ、ヴォーカルに宿るエモーションの激しさと甘さ、メロディーの美しさと強さ……どれもが過去最高だ。不撓不屈のパンク・スピリットで金字塔を打ち立てた彼らに、最大限の賛辞を送りたい。

「まず、この3人で結束してやれたってことに満足してる。いまも昔と同じようにスパークできて、いっしょに音楽を作ることを楽しめてるからね。しかも、これまでの作品を遥かに越えるアルバムを作ることができたんだ。最初から最後まで素晴らしいよ。まとまりもあってさ。オレはこのバンドを誇りに思う」(コーン)。

 「結果的には、最高のアルバムができた。本当に過去最高だって実感してる。これを作れたことで、オレたちはあらゆる壁を乗り越えたんだ。だから、タイトルの〈Underclass Hero〉っていうのは、最低の場所からスタートして、難関をすべて克服したオレたち自身のことなんだよ」(デリック)。

「そう、いまのオレたちの気持ちをパーフェクトに表現する言葉だね」(コーン)。

〈サマソニ〉での来日ももうすぐ。傑作を引っ提げて帰還した3人を、歓喜のシンガロングで迎えようではないか!

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掲載: 2007年08月02日 12:00

更新: 2007年08月02日 17:25

ソース: 『bounce』 289号(2007/7/25)

文/鈴木 宏和