aie
KCHC(柏シティー・ハードコア)から超新星現る! 叙情と激情が圧巻のスケールで交錯するファースト・ミニ・アルバム
ハードコアの聖地=柏から彗星のごとく現れたエモーショナル・ロック・バンド、aie(アイエ)。たった1枚の音源『the last note』で多くのハードコア・ファンを熱狂させ、突如解散したFactor 2 Graceのメンバー4人+ギター&ヴォーカルの大屋 努から成る5人組だ。それだけに、aieの枕詞には〈前身バンド、Factor 2 Graceの~〉という言葉がよく見られるが、当の本人たちはその表現をさらりと否定する。
「時々〈ヴォーカルを入れ替えた〉みたいな言われ方をするんですが、まったくそうじゃないんです。aieを始める前にFactor 2 Graceの解散は決まっていたし。大屋とはプライヴェートで遊ぶ仲だったんですが、〈何かやりたいね~。バンドやろうか?〉という話が出た時に、たまたま集まったのがこのメンバーだったっていう」(堀崎泰央、ギター&ヴォーカル)。
2006年11月に発表されたファースト・シングル“I Was In The Small Circle”は、確かに彼らの〈リセット感〉が前面に出た印象だ。激情を叩きつける3本のギターと、エモーショナルなハイトーン・ヴォイス。そして静と動を効果的に活かした楽曲は、エモ~ハードコアの文脈を匂わせながらも、単一のジャンルに留まりきらない多様な音楽性を獲得している。それは、このたびリリースされたファースト・ミニ・アルバム『sequel』にもしっかりと継承されているものだ。
「曲は、みんなが持ってきたリフやアイディアをスタジオで試しながら作ってます。メンバーそれぞれがいろんな音楽を聴いているので、影響は自然に出ているんじゃないかな。いい意味で我が通せるっていうか」(堀崎)。
「みんな自己主張もあるけど、引き際もちゃんとわかってる。だから、伊藤のドラムを主にしたりとか、ミチ(中道孝治)のベースラインがまずあって形にしていくとか、いろんなパターンの曲があります。ギターが3人いるっていうのも、単純に音が厚くなるっていうメリットもありますが、俺らは思いっきり〈ロックだぜ!〉っていうバンドではないので、打楽器叩いたり、キーボード弾いたり、ギター3人のうちのひとりが別のことを演ってもいいかな、と」(大屋)。
「シンセを弾き始めたのは、aieを始めてからなんですよね。〈こういう音があったらいいよね〉っていう話が出た時に、〈じゃあ、俺弾くわー〉って(笑)」(海老原勉、ギター&キーボード)。
「毎回、ちょっと変わったことをやってみたいな、っていうのはあります。大屋がフロア・タムを叩いて、俺とふたりだけになる曲があるんですけど(“party in my car”)、ふたりのセッションからかっこいいリズムが生まれたりすることがありますね」(伊藤将吾、ドラム)。
そんな実験の末、ヴァラエティに富んだ仕上がりとなった全6曲。だが、その全体のバランスはひどく意識的なものだ。ちょうど真ん中に位置する“intro”は、同じ柏シーンの盟友、DEEPSLAUTERのメンバーも参加したツイン・ドラム、ツイン・ベースの爆裂インスト・ナンバー。この楽曲を境に、エネルギー全開の前半部分から、より叙情的に、より壮大なドラマ性を帯びた後半へと滑らかにスイッチしてゆく。
「年内に(フル・)アルバムを作る予定があるので、2006年に出したシングル、今回のミニ・アルバム、そしてこの後のアルバムまで通して、ひとつの流れになるような作品を作りたいと思いました。〈sequel〉は、〈続編〉という意味ですね。4曲目の“intro”を挟んで前半3曲はシングルに、後半2曲はアルバムに繋がっているんです。流れっていうのは、歌詞の内容になっちゃうんですけども……メンバーにも話してないので恥ずかしいんですが(笑)、シングルと今回のミニ・アルバムの前半3曲は他人の世界観、自分以外の誰かが触れる世界について歌ってるんですけど、“intro”を挟んで、だんだん自分のなかに入っていくイメージになってます。誰でも自分のなかにいろんな面を持ってると思うんですけど、それぞれの自分と接触するところから始まる――そこから、次のアルバムに繋げていければいいなと思ってます」(大屋)。
aie 『sequel』
1. party in my car(試聴する♪)
2. turn&escape(試聴する♪)
3. lantern slide(試聴する♪)
4. intro(試聴する♪)
5. sad song(試聴する♪)
6. pixies chat(試聴する♪)