Perfume
着実にヒットを連発し、熱狂の輪をどんどん広げているPerfumeが約1年ぶりのニュー・アルバムを完成させたよ! グングンと上昇を続ける最強のポップ・トライアングルが次にめざすステージは……?
自分たちの曲っていうのを忘れるくらいカッコ良い
2009年下半期の幕開けに相応しい重要作にして、今年最大の注目作。お茶の間からサブカル界隈までを席巻し、いまや押しも押されもせぬトップ・アイドル/アーティストとなったPerfumeの3作目『トライアングル』を形容するには、そんな言葉が似合う。三角形の記号で表記された読めないタイトルや曲目、ジャケットやアーティスト写真……といった諸々の情報が徐々にあきらかになるにつれて、こちらの妄想や深読みは日増しに増大。〈さあ、どう来るのか?〉と肩をいからせて問題のニュー・アルバムに対峙したわけだが……作品自体には思わせぶりな仕掛けや、あからさまな方向転換はナシ。キュートでダンサブルでエレクトロニックなPerfumeの持ち味はそのままに、楽曲のクオリティーそのもので勝負をかけ、前作『GAME』で到達した高みをさらに更新してみせるという、男気すら感じる(?)一枚となった。
「自分たちの曲ってホントに聴かないんですよ、普段。携帯プレイヤーに入れていても、Perfumeの曲が来たら飛ばす、みたいな。でも、このアルバムは全然飛ばさないですね。自分たちの曲っていうのを忘れるくらいカッコ良いです。スタジオで撮影してる時にアルバムをかけてもらってても、〈あ、何これ? かっこいい! あ、Perfumeの曲じゃん!〉って(笑)。そういうことがホントにあるんですよ」(かしゆか)。
大きく舵を切るような変化はなくとも、楽曲~サウンド単位での新機軸は、もちろんあちこちに見い出すことができる。なかでも特筆すべきは、これまで以上に濃厚に漂いはじめた歌謡フレイヴァーだろう。CM曲として先にオンエアされていた“NIGHT FLIGHT”は、80年代初頭のテクノ歌謡のような趣きだし、“I still love U”は、まるでwink辺りのユーロ歌謡。こういうドメスティック極まりない音をプロデューサーの中田ヤスタカが採り上げ、かつ凄まじくクールなサウンドとして提示してくる手腕には、ただただ驚かされる。
「レコーディングの時はホントにベタな歌謡曲というか、振り切ったなっていう印象があったんですよ。〈これ、アルバムの他の曲と仲良くできるのかな?〉って思ってたんですけど、アルバムに入ってるヴァージョンは、もっといろんな音が加わってて、ちゃんと(アルバムのなかで)流れるようになってました」(のっち)。
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