インタビュー

The John's Guerrilla(2)

サイケは物の見方や音の聴き方が変わる

――バンドとしては〈NEW PSYCHEDELIC〉というテーマを掲げていますね。

RYOJI「サイケデリックなものが好きなんですよ。例えばジェファーソン・エアプレインとかドアーズとか、ウチら全員好きですからね。ものの見方や音の聴き方が変わる。ドアーズの“Five To One”とか、いつかカヴァーをやろうと言っているくらいだし」

――そういえばアルバムのラスト曲“Limitless Ze Elo”は、ドアーズの“The End”を思わせるような……。

RYOJI「よくわかりましたね。あの曲は、“The End”からインスパイアされてるんです」

――1曲目“When The Sun Goes Down”で聴こえるオルガンも、どことなくサイケな匂いがするし。

RYOJI「あの曲は、もともとガレージ・ナンバー的な感じで作ってたんですけどね。そこからオルガンが入ってハープが入って、サイケに近くなったかもしれないです。今回のアルバムは曲を作った時期がバラバラなので、その時々で影響されたものが出てるんですよ」

――“Don't Get Down Bitch”は4つ打ちっぽいですよね。

RYOJI「4つ打ちですね。ウチらはオールナイトのイヴェントをよくやるんですよ。友達のバンドのQUATTROやVeni Vidi Viciousと。この曲を作ったのは、ちょうどそういうパーティーをよくやってた時期なんです。イギリスのパブっぽい音でみんな好き勝手に踊り狂え!みたいなイヴェントで、客との一体感を感じられる曲が必要だよね、ということで作った曲です」

――なるほど……いちいちおもしろいので全部訊いていいですか(笑)? 3曲目の“Shoot The Radio”は?

RYOJI「これは2年ぐらい前にバンド名を変えた時に、〈これから始めていくぞ〉というモチベーションで作った曲です。実は僕、LEOの書く歌詞はあんまり気にしたことがなくて、歌い方とかで内容を何となく感じてアレンジをしていくんですけど、この曲には〈これから始まる〉という、昇っていく太陽のようなイメージがあったんですよ。本当の意味は、作詞したやつに訊いてもらうのがいちばんいいかもしれないですけど」


――“All Tomorrow's Genius”は?

RYOJI「これは昔すぎて覚えてないです(笑)。でも次の“Evil Steps”を作った頃は、ダンス・ロックがすごい流行ってた時期で。ジャスティスとか2メニーDJ'sが海外で盛り上がってきているのを知って、〈よし、ダンス・ロックをやろう〉と」

KANAME「あとソウルワックスとかね。“Evil Steps”と“Shadow Disco”は、そこらへんをものすごく聴いていたから出来た曲ですね」

――“Gloria”は?

RYOJI「これがたぶん、このなかでいちばん新しい曲です。ジム・モリソンやらパティ・スミスやら、いろんなところから歌詞を引用するところから始まっていて。ライヴの時は、LEOはギターを持たないでパフォーマンスに徹してます」

――“Jewel”は、アルバムでも屈指の美しいメロディーの曲だと思います。

KANAME「もう3~4年前の曲なんですよね」

RYOJI「最近になって、間奏だけ入れたんですよ。そこだけですね、変わったのは。曲のイメージは当時から変わってないです」

――そしてラストが“Limitless Ze Elo”。これは12分近くある大作ですが。

KANAME「ライヴだともっと長いです」

RYOJI「15分はいきますね。この曲は即興でやっている部分もあって、LEOのポエトリー・リーディングが盛り上がってきたら演奏はそれについていく。これをやる時は、客の反応は一切無視します。これ以外の曲は、レスポンスに合わせてセットリストを変えたりするんですけど、“Limitless Ze Elo”に関しては、余計な情報が入るとこっちがダメになるから、こちら側から一方的に発信するんですよ。だから、お客さんも好き嫌いが激しいんです、この曲は」

――聴くほうにもすごいテンションが必要な曲だと思います。

RYOJI「好きなら好き、嫌いなら嫌いのどっちかでいいです。それがバンドの姿勢です」

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年07月15日 18:00

文/宮本英夫