インタビュー

Sawagi

大阪のクラブ・シーン発、世界行き――ジャズもファンクもヒップホップもエレクトロも猥雑に採り込んだダンス・ミュージックで聴き手の血を騒がせ、胸を騒がせるインストゥルメンタル・バンド!!

韻シストよりもっとブラックに

  Sawagiというバンド名がまずインパクト大。血が騒ぐ、胸が騒ぐの〈騒ぎ〉。その由来について、ドラムスのニコは「海外の方が聞いても新鮮で、かつおもしろい日本独自の言葉にしようって考えたんです」(以下同)と話すが、確かに不思議な語感を持つ言葉だと思う。ちなみに、彼らはもともとKARAKURIというバンド名で活動していて、今回発表された『hi hop』でバンド名をSawagiに変更。KARAKURIはジャジーなインスト・ヒップホップ・バンドとして関西クラブ・シーンを賑わせる存在だったが、今回の『hi hop』はSawagi~KARAKURIを通して初めてのアルバムとなる。

 それにしても、この『hi hop』はバンド名に負けず劣らずインパクトのある作品だ。冒頭をド派手に飾るエレクトロ・ディスコな“ibiza”からして胸が騒ぐ出来だが、その後もKARAKURI時代からの売りだったソウルフル&ジャジーなインスト・ヒップホップを交えつつジャンルレスな世界を展開。ちょっとした遊び心も随所から窺えるし、程良いセッション感覚が顔を覗かせるのもいい。

  もともとKARAKURIは小学校の頃からの幼馴染みであるニコとコイチ(キーボード)を中心に、ギターの観音とベースの雲丹亀卓人が加わって2004年に結成された。観音と雲丹亀も結成以前からの古い付き合いだというから、そりゃメンバー間のコンビネーションもバッチリなはずである。KARAKURIの結成当初のコンセプトについて、ニコはこう語る。

 「ズバリ、韻シストですね。あえて言うなら、韻シストよりもっとブラックに。そんな無謀なことを考えてましたね。あと、ディアンジェロとダフト・パンクはメンバー全員が好きやと思います」。

 韻シストは彼らにとって大阪クラブ・シーンの先輩格にあたるが、これほどあけすけにその影響を公言するのも彼らへのリスペクトあってのことだろう。そんな大阪の地下の現状についてはこう話す。

 「〈ライヴはすべてをひっくるめてひとつのショウや〉って考えてるアーティストが他の土地より多いんちゃうかな?と思います。あと、〈普通じゃおもしろくない〉ってこととか、〈伝わるのは音だけじゃない〉ってこと、それと〈日常の過ごし方がステージに出る〉っていうことを(大阪のクラブ・シーンの仲間から)教わりましたね」。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年08月05日 18:00

更新: 2009年08月05日 18:10

文/大石 始