インタビュー

イルリメツナガリの作品 ――(1)

 

ECD 『天国よりマシなパンの耳』 FINAL JUNKY(2009)

2002年作『SEASON OFF』でイルリメをいち早くフィーチャーしてみせたECD。その後にはECDILLREME名義のコラボ作『2PAC』を発表するなど、作品/ライヴを問わず両者の共演は数限りない。ヒップホップの定型からは逸脱しつつ、ラップという表現に真摯に向き合い続けている点に、彼らの共通項が見い出せる。

二階堂和美 『二階堂和美のアルバム』 Pヴァイン(2006)

変幻自在のマジカル・ヴォイスを持つ稀代の歌い手、二階堂和美。異色の共演ライヴ盤『live08/feb/2003』を経て、本作ではイルリメがプロデュース&全曲の作詞を担当している。時に弾き語りのライヴを披露したりとシンガー・ソングライター的なスタイルの活動も展開するイルリメだが、そこに彼女からの影響は大きいはず。

REDSOUND/GRIND DISCO 『DRAG AND DROP』 Imagined(2009)

2002年作『Quex』に参加するなど、イルリメとは長い交流歴を誇るRIOW ARAI。そんな2人が各々別名義で結託したスプリット盤がこちら。お互い4つ打ちに照準を絞り、フロア直送のサウンドを展開している。『360°SOUNDS』収録の“フィジカルグラフィティ”は、本作中のインスト曲に新たなラップを乗せたもの。

七尾旅人×やけのはら “Rollin' Rollin'” felicity(2009)

昨年、日本のインディペンデントなシーンにおけるアンセムのように鳴り響き、さまざまなリスナーの心を掴んだ“Rollin' Rollin'”。その作り手である七尾旅人とやけのはらを結び付けたのは他でもないイルリメなのだとか。この曲に滲むメランコリーは、イルリメが時折覗かせる叙情性ともそう遠くない。

環ROY 『BREAK BOY』 POPGROUP(2010)

ラッパーでありながらヒップホップという枠組みを拡大するジャンルレスな挑戦を続けてきた環ROYの活動スタイルは、イルリメのそれと重なるところも多い。テクノやハウスをも乗りこなすライミングの軽やかな感触や、機材も自分で操ってしまうライヴでのワンマン・ショウっぷりも共通するのでは。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年05月20日 23:00

更新: 2010年05月20日 23:06

ソース: bounce 320号 (2010年4月25日発行)

ディスクガイド/澤田大輔

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