Nothing's Carved In Stone『Sands of Time』
「新しいところにちゃんと行けた手応えがあった。だから成長期だって思ったんですよね」(生形真一)
空中に浮かぶ<時計>とそこに掛かる<梯子>…Nothing's Carved In Stoneの2ndアルバム『Sands of Time』のジャケットはシュールで意味深だ。それは、まるでこのバンドが持つオーラと計り知れないポテンシャルの象徴のようだ。 Nothing'sは昨年、初ライヴを行ったバンドである。だが、1年後の渋谷AXのワンマンは即完。わずか1年で多くの音楽ファンを魅了し、勢いを加速させた。そのバンドの充実度が『Sands of Time』に刻まれている。生形真一(Gt.)「バンドとしての成長が今回の作品に出たんだと思う。
ツアー中に作った曲もあるし、ツアーで成長させた曲もある。
だからより作り込むことが出来たんです」
生形は昨年の11月に自身のブログで<今は成長期です>と書いている。
生形「その時期には収録している殆どの曲は出来ていたんですよ。
まだメロディーが付いてない曲もあったけど、
新しいところにちゃんと行けた手応えがあった。
だから成長期だって思ったんですよね」
敢えて言うなら1stアルバムはそれぞれ別のフィールドで活動していたメンバーの個性が融合して出来た作品だ。
だが、今作はNothing'sという融合体が生み出した作品である。だからバンドとしてのクリエイティビティが細部にまで
満ちている。個々の音色とアレンジの多様さ、打ち込みを多用したことで生まれた世界観の深さ、
そして存在感のスケールアップには目を見張るものがある。それはこの男の成長と深化にも依っている。
村松拓(Vo./Gt.)「Nothing'sをやることで人に向けて発することを学んだんですけど、
だけどさらに深く考えると自分自身であることが大事だって思ったんです。
だから歌詞はより自分を見つめた内容になりましたね」
ELLEGARDEN、ストレイテナーなど第一線のバンドで活動してきたメンバーのなかで
村松は若く、経験値も少なかった。しかし、この1年で吸収したものは想像以上であり、
それがヴォーカルとリリックに深みを与えた。最早、彼の存在がバンドに一本の芯を生み出している。
おそらくNothing'sは作品ごとに進化/深化していくバンドだ。
それはライヴを積み重ね、曲を生み出していくことによって深まっていく。
次のツアーはさらに彼らをスケールアップさせることになるのだろう。
■ PROFILE…Nothing's Carved In Stone(ナッシングス カーブド イン ストーン)
昨年の5月に1stアルバム『PARALLEL LIVES』をリリース後、
全国ツアーを成功させ数多くのフェスにも出演。
12月にリリースした1stシングル『Around The Clock』に伴う
ツアーファイナル・渋谷AXワンマンのチケットを即完させ、圧倒的なパフォーマンスを披露した。
記事内容:TOWER 2010/06/05号より掲載