インタビュー

実は長い活動歴を誇るacid androidの作品をプレイバック

 

acid androidの誕生は2001年、まずはyukihiro名義でシングル“ring the noise”をドロップ。みずからヴォーカルを取り、初期プロディジーにも通じるダンス・ビートが洪水のように押し寄せてくる渾身の一曲だ。そして翌年、acid andoroidとして初めて発表したのがファースト・アルバム『acid android』。ここでは重厚なインダストリアルへグッと接近し、ダークでプリミティヴなノイズが緊張感を伴って細胞を浸食していく。そんななかエレガンスも感じさせるメロディアスな楽曲も披露し、サウンドの幅広さにも驚かされた。さらに2003年のミニ・アルバム『faults』では、UKのゴス・バンド、カーヴのトニ・ハリデイが参加。前作に収録された美しく儚いナンバー“amniotic”のメロディーを彼女が歌ったタイトル曲は、艶やかなヴォーカルと絡み合うヒステリックなシューゲイザー・サウンドに胸を突かれる。

また、コーンの来日公演にオープニング・アクトとして参加した2006年には、生ドラムを加えてバンドならではの迫力とエレクトロ・ビーツを融合させたシングル“let's dance”をリリース。またその直後に発表されたセカンド・アルバム『purification』は緻密な計算が施された陰鬱なヘヴィー・ロックで、脳天が圧迫されるほどのグルーヴを響かせている。なかでもピアノをフィーチャーしたラストでは、acid androidならではの荘厳で静かな世界観に魅せられた。作品ごとに進化を遂げ、凄ジャパニーズ・ロック・シーンでも独特な存在感を放つacid android。その才能はまだまだ違った何かを見せてくれそうだ。

 

▼acid androidの作品を紹介。

左から、yukihiro名義の2001年のシングル“ring the noise”(キューン)、2003年作『acid android』(DANGER CRUE)、2003年のミニ・アルバム『faults』、2006年のシングル“let's dance”、2006年作『purification』(すべてキューン)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年08月16日 13:56

更新: 2010年08月16日 13:57

ソース: bounce 323号 (2010年7月25日発行)

文/柴田かずえ