インタビュー

本岡トシ(TOKYO IRISH GENERATION)

アイリッシュ・ミュージックを東京から!

『TOKYO IRISH GENERATION』は東京を拠点に活動するアイリッシュ・ミュージックの音楽家たちが集結した、かつてなかったタイプのコンピレーションだ。収録アーティストは20代から30代前半の若い世代が中心。本作の首謀者のひとりである、John John Festivalのバウロン奏者、本岡トシはこう話す。

「僕はもともと京都で活動してたんですけど、東京に出てきてから20代、30代のアイリッシュ・ミュージックのミュージシャンと出会う機会が多くて、その質の高さに驚かされたんです。それで、いつかこういうコンピを作ってみたいとは思ってて」

彼がアイリッシュ・ミュージックに本格的にハマったのは、'00年からの約1年間をアイルランドで過ごしていた時のことだった。

「最大の目的は音楽を聴くことだったんですね。町にあるパブでは毎日ライヴをやってるし、たまらない環境なんですよ。それで毎日パブに通ってたんですけど、あの手の音楽は聴いてると自分でやりたくなってくるんです。パブにはステージがあるわけでもないですし、自分のすぐ横でミュージシャンが演奏してる。そういう状況だと、その輪の中に入りたくなってくるんですよ」

それまでの楽器演奏経験はほぼ皆無。それが現地の音楽家たちの演奏に魅せられ、アイルランドのフレームドラム、バウロンを突如手にしたわけだから、アイルランドのパブで繰り広げられていた光景がいかに楽しげなものだったか想像がつく。O'Jizo、The Ash Grove、オオフジツボ、五社義明、Modern Irish Project、waits、そしておおたか清流をフィーチャーしたJohn John Festivalが参加した本コンピからも伝わってくるのは、アイリッシュ・ミュージックを演奏する楽しさだ。

「日本ではアイリッシュ・ミュージックって癒し系のイメージを持たれてるところもあると思うんですよ。でも、僕たちがやってるのはグルーヴや楽しさを追求したダンス音楽としてのアイリッシュ・ミュージック。それと同時に美しい旋律でゆったり聴かせる部分ですね」

本岡トシはこうも話す。

「まだアイリッシュを知らない人に聴いていただきたい気持ちはもちろんありますし、同時にアイリッシュ好きに対して東京のバンドを紹介するショウケースのようなものになればと。あとは海外ですね。アイリッシュといってもアイルランドだけじゃなくて、世界中で演奏されてますからね」

この10月にはJohn John FestivalとModern Irish Projectの単独リリースも控えているほか、これとは別に、近々関西版コンピのリリースも予定されているとか。本岡トシ自身も「今、機が熟しつつあるんです」と話す日本のアイリッシュ・ミュージック・シーンが今後どのような展開を見せていくのか、大いに注目したい。

『TOKYO IRISH GENERATION Vol.1 ほろ酔いランチショー』

10/31 (日)開場12:00 開演13:00 会場:下北沢440 
出演:The Ash Grove、waits ゲスト:ビューティフルハミングバード

『TOKYO IRISH GENERATION Vol.2 青山フェスティバル』

11/28(日)開場17:00 開演18:00 会場:EATS and MEETS Cay
出演:O'Jizo、オオフジツボ、五社義明、Modern Irish Project、John John Festival
http://tokyoirishgeneration.jimdo.com/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年10月05日 17:07

更新: 2010年10月05日 17:17

ソース: intoxicate vol.87 (2010年8月20日発行)

interview & text : 大石始