Joan Jeanrenaud
元クロノスのジョーン・ジャンルノー レーベルを設立!
クロノス・カルテットのチェリストを経て、現在はソリストとして大活躍のジョーン・ジャンルノー。豊かで暖かなチェロの響きと同時に、現代的でスタイリッシュなアプローチで全米を魅了している。2008年には、全作オリジナル曲からなるアルバム『ストレンジ・トイズ』がグラミー賞にノミネート。今年はレコード・レーベルも設立した。
──『ストレンジ・トイズ』の作曲の経緯をお話し下さい。
「1999年にクロノスを離れた後、サンフランシスコのミュージシャン達とインプロヴィゼーションのセッションを始め、サックス奏者のラリー・オークス、琴奏者のミヤ・マサオカとトリオを組みました。ミルズ・カレッジの教授でインプロヴァイザーのフレッド・フリスともコラボレーションをしています。彼等の影響もあり、インプロヴィゼーションから次第に作曲をするようになったのです」
「最初は、ループや多重録音したチェロを組み合わせて、 独奏では表現できない多重のテクスチャーを作っていきました。『ストレンジ・トイズ』は、ループの可能性を生かして、1999年から2007年にかけて作曲した曲の中から、ベスト作品を選んでアルバムに収録。ダンサーの為の曲、ヴィオラ・ダ・ガンバやクワドラコードを含む曲、テキストを含む曲など、多彩な音を追求しました」
──『ポップ・ポップ』も、プロデューサー はPC ムニョスですね。
「『ストレンジ・トイズ』の後、PC から『スタジオに来て録音してみない』と誘われて。彼がプログラムしたビート・トラックに私がチェロを重ねたり、私のチェロに彼がビートを加えたり、アイデアを家へ持ち帰り、練り直してスタジオへ行くことを繰り返すうちに『ポップ・ポップ』の形が出来上がってきたのです。全トラックにビートがあり、エレクトリック・チェロも使い表現の可能性が大きく広がりました」
──レコードレーベルを設立した経緯は?
「『ストレンジ・トイズ』は、2007年にサンフランシスコの〈トーキング・ハウス・スタジオ〉で録音しました。IT 実業家が設立したスタジオで、制作費の全てを彼等が負担しました。しかし設立から5年後、2人のレコーディング・エンジニアとビシネス・マネジャーの3人が独立して〈スタジオ・トリロジー〉としてスタジオを引継ぐことになったのです。『ポップ・ポップ』製作は、その過渡期と重なり、以前のように制作費を彼等が全負担しなくなった。それならば思い切って自分のレーベルを立ち上げようと決意。そうして設立したのが【デコネ・レコード】です」
──名前の由来は?
「私のチェロの製作者の名前からです。1750年にミッシェル・デコネがヴェニスで製作した楽器なので。『ポップ・ポップ』は【デコネ・レコード】からの最初のリリースアルバムです」
──日本でのリリースが楽しみですね。