『ティン・パン・アレイ』の芳醇な含有成分を、志磨遼平がみずから解説!――(1)
AL GREEN 『Let's Stay Together』 Hi(1972)
秋冬のシーズンになると、70年代のフリー・ソウルっぽいものが急に聴きたくなるんです。アル・グリーンのほかにアリス・クラークとか、アレサ・フランクリンが歌うバカラックの“I Say A Little Prayer”とか。“おおハレルヤ”はいろんなコンセプトが同時に詰め込まれている曲ですけど、特にそのへんの曲の影響が強いと思います。
THE BYRDS 『Sweetheart Of The Rodeo』 Columbia(1968)
秋冬にはソウルのほかにカントリー&ウェスタンとか、トラッドな感じの曲もいいんです。“おっさんOn The Corner”はそんな感じの曲で、バーズとかああいうイメージがありますね。バーズの〈ロデオの恋人〉は“恋するロデオ”のタイトルにも影響を与えていますね。このアルバムはジャケットの絵も可愛くて好きなんです。
THE BEATLES 『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』 Apple/EMI(1967)
“恋するロデオ”にはビートルズの影響があります。やっぱり僕はビートルズがいちばん好きで、自分のアルバムをビートルズ史に当てはめるとどれだろう?って毎回思うんですけど、今回は『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』『Magical Mystery Tour』あたり。でも〈一人ホワイト・アルバム〉みたいな気もする(笑)。
THE CARPENTERS 『Now & Then』 A&M(1973)
バート・バカラックっぽいメロディーへの憧れは今回のアルバムでも強いですが、バカラックを歌うグループといえばカーペンターズもいいですね。“Sing”っていう曲はバカラックではないですが大好きな曲で、“愛のテーマ”にも通じるものがあります。僕は子供コーラスフェチで、子供コーラスが入っていれば何の曲でも泣きますよ。
VARIOUS ARTISTS 『A Christmas Gift For You From Phil Spector』 Phil Spector/Legacy
50~60sのガール・グループは僕の大好物で、“C列車でいこう”はロネッツを意識してます。これはフィル・スペクターの手掛けたグループによるクリスマス・アルバムで、ロネッツも入ってるんですけど、僕が昔レコード屋でバイトしていた時に、欲しかったけど高くて手が出せず、毎日お店でかけて聴いていた思い出があります。
SERGE GAINSBOURG & JANE BIRKIN 『Jane Birkin/Serge Gainsbourg』 Fontana/Light In The Attic(1969)
“序曲(冬の朝)”は、僕のなかでは一応ゲンスブールなんです。ゲンスブールとジェーン・バーキンのデュエットみたいな感じで、ミックスの時に〈フレンチ・オルタナにしてください〉って言ってました。音の雰囲気はティーンエイジ・ファンクラブのファーストだったりするんですけどね。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2011年02月21日 18:02
更新: 2011年02月21日 18:03
ソース: bounce 328号 (2010年12月25日発行)
構成/宮本英夫