LONG REVIEW――Superfly 『Beep!!/Sunshine Sunshine』
小さな身体からフルスロットルで放たれる歌声が耳に飛び込んできたとき、目の前にあるモヤモヤとしたものを吹っ飛ばしてくれるような痛快さと共に、血のめぐりが一気に加速するような感覚を覚えずにはいられない──そんなところがSuperflyこと越智志帆というヴォーカリストのチャームのひとつだと思うわけだが、そういう点で言うと、ニュー・シングル“Beep!!”はSuperflyの真骨頂、その最たる例だと言えそうだ。
お馴染みの音色で響かせる野太くキャッチーなギター・リフに始まり、助走なしで畳み掛ける志帆のパワフルなヴォーカル──〈アクセルを New world! 叩き込め New world! 道を開けて Please!! ガードレール飛び越えたら逢える明日 ノーブレーキさ! チャンスは今だけ!!〉……(注:一般道では制限速度を守りましょう)。身体中にアドレナリンが充満するぐらいブッ飛ばせば、見慣れた世界も別のモノ、むしろ見たことない世界だって見えてくるんじゃない?って、自分自身を奮い立たせることによって外部へと放出される躊躇なきパワーと熱気。そう、そこにはどんな〈がんばろうソング〉よりも信じられる頼もしさがある。〈Beep!!〉とはつまり、警告音、発信音、クルマのクラクションを意味する言葉だが、その力強い言葉、声、音圧で聴き手をハッとさせるSuperflyの音楽、その様を簡潔に言い表すのにも適った言葉だ。
両A面のもう1曲“Sunshine Sunshine”は一転して長閑なメロディーラインの楽曲。“Beep!!”とはまったく異なるスピード感ではあるのだが、〈生きてることを感じなきゃ!〉といった根本のテーマは両曲に相通じているところだろう。