インタビュー

Charlie Green

スウィンギンCは小さな巨人です


PHOTO:生井秀樹

小さな巨人といえばオロナミンCだが、このスウィンギンC(チャーリー)も相当な大器だ。名前はチャーリー・グリーン。年齢は14歳で、職業はジャズ・シンガー。10歳でコニー・タルボットやスーザン・ボイルらを輩出した「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出場。ファイナルには進めなかったもののYouTubeにアップされた映像は400万回を越すアクセスを記録。チャーミング過ぎる容姿、高い歌唱力は視聴者たちの胸をキュンとさせた。イギリス人の父(母はフィリピン人)はプロのシンガーなのだが、チャーリーは2歳頃にはすでにステージに飛び入りして《New York,New York》を歌っていたというから、ずいぶんと早熟な少年だ。

番組出演後に一躍人気者になった彼は、いきなり世界を飛び回る生活に突入。そしてさまざまなステージに立って経験を積みながら、プロ意識を鍛えつつシンガーとしての心構えを形成していく。「みんなにサインすることに慣れるまでは時間がかかったけど、音楽が好きだって気持ちに一切変化はなかった」と話す彼だが、昨年リリースされたデビュー・アルバム『ア・フレンド・ライク・ユー』には、誰よりも音楽を愛するチャーリー少年の熱い思いが張り付いている。レトロなビッグ・バンド・サウンドの曲ではバツグンのスウィング感を披露。スウィートなポップ・チューンにタガログ語の曲もある。

「イイ曲は時を超えるよね。好きになるものは、時代を問わない。ただ昔に作られて、知られずに忘れられたイイ曲ってたくさんあるでしょ? 発表された当時に何かの理由があってヒットしなかったものでも、いまアレンジし直して出したら受けるかもしれない。アルバムを作るにあたってそういうテーマもあった」

ところで同級生の友達はチャーリーくんの音楽をどう受け取っているんだろう?

「意外かもしれないけど、若い人ってこういう音楽をよく聴いているんだよね。例えば、エイミー・ワインハウスやアデルは古いスタイルの音楽を新しく装って発表し、受け入れられているじゃない? だから若い子たちも抵抗なくこういう音楽に触れられると思う」

マイケル・ブーブレやブルーノ・マーズが好きで、夢は自分のバンドを持つことというチャーリー。自分に備わっている特別な才能って何だと思う?と尋ねてみた。

「僕のユニークさは何か? と考えたら、この年齢でスウィンギーな曲を歌いこなしていることだと思う。やっぱり何においても独創性が問われる。君がめざすシンガーは? と訊かれたら〈チャーリー・グリーン〉って答えるかな」

次のアルバムではもっと大きなチャーリーが見られるはずだね、と言うと「横に広がるんじゃなく、縦に大きくなっていたい」とハニかんでいた彼。で、「いま僕は理想の場所に立っている。それだけで十分に幸運だけど、それを継続させなきゃ」とキリっとした表情で語る姿を見て、目頭が熱くなった。チャーリーの冒険は続く。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年04月25日 19:40

更新: 2011年04月25日 20:09

ソース: intoxicate vol.91 (2011年4月20日発行)

interview & text : 桑原シロー