インタビュー

寺久保エレナ

バークリー入学前に届いた〈アンファン・テリブル〉の2作目

この3月に、高校を卒業したばかり。アルト・サックスの〈アンファン・テリブル〉の2作目は、昨年リリースのデビュー作と同様にNY録音作だ。

「ロン・カーターさんと出来るかもしれないという話があったので、それが実現すれば最高だなあと思いました。昨年の『東京JAZZ』で共演していますけど、その時はリハーサルと本番だけ。ロンさんといる時間はほんの少しで、実際にコミュニケーションをとる時間はありませんでした。でも、レコーディングの場合はずっと一緒に時間を過ごすわけなので、ぜんぜん違います。ロンさんとやると、〈これこそはジャズ〉と痛感しちゃいますね。ピッチが悪かろうが、走ろうが、それが全部がいい。それが、〈ジャズ〉なんです!」

ロン・カーターにくわえ、ケニー・バロン(p)、リー・ピアソン(ds)、ドミニク・ファリナッチ(tp)という布陣でのレコーディング。バロンとピアソンは前作に続いての参加となる。

「ドミニクとリー・ピアソンはロンさんとやるのが初めてで、結構びびってました。逆に私のほうが、ロンさんにイエーみたいな所がありました(笑い)。これだけ年の差があったほうが仲良くなれますね。私はキャノンボール・アダレイ(as、ts)がすごい好きで、彼が弟のナット・アダレイ(tp)とやっているのが結構あり、いつかトランペットを入れてそういうのをやってみたいと思っていたんです」

曲はスタンダードを中心に、自作も2曲。また、敬愛する渡辺貞夫の新しめの曲《ワン・フォー・ユー》も取り上げた。

「やっぱり、このメンバーではまるのはスタンダード。私の曲をやらなくてもといいとも思っていたんです。だって、普通のプレイヤーとスタンダードをやるとジャム・セッションという感じのアルバムになっちゃうけど、ロンとケニーだとそれはないですから。でも、自分の曲がロンとケニーとやったらどうなるんだろうという気持ちもあったので、やってみました」

今回のレコーディングの現場は、「すごいアットホーム」だったそう。さらに、彼女はこうも話を加える。

「進行は自分で仕切れたし、楽しかったですね。前回のレコーディングと較べて、やはりメンバーと仲良くなり、バンドとしていいバンドだったなと思う。私の演奏も前とはまったく違いますし。できるなら、また一緒にやってみたい」

7月には、過去参加したバークリー音楽大学の夏期講習で知り合った若い奏者(ドラマーは、ギタリストのマーク・ホイットフィールドの息子さんとか)とともに日本を回り、9月には満を持して同音大に入学する。

「私はまだまだ、たくさん勉強したんいです。そして、アメリカの暮らしに溶け込みたい。卒業しても、そのままいたいですね」

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カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年06月25日 11:00

ソース: intoxicate vol.92 (2011年6月20日発行)

interview & text : 佐藤英輔