インタビュー

ゆーきゃんを送り出した術ノ穴の近作は?

 

本文にもあるように、ゆーきゃんの新作は術ノ穴からのリリースとなる。が、確かに異色のマッチングではあるものの、さほどの違和感はないはずだ。レーベルを主宰するFragmentの鋭利なサウンド志向にある毒特の間口の広さは、そのままリリース歴のユニークさにも繋がっていて、サウンドは多様でも、ある種のポエジーを湛えた雰囲気に共通項を見い出す人も多いのではないだろうか。

特に今年の術ノ穴は年頭から〈CREATE & DELIVERY〉シリーズとして1,500円のアルバムを5か月連続で出しており、ポスト・ロック的なDOTAMAの『ホーリーランド』を筆頭に、AFXやアンチコンの緻密さを継承するGeskiaのインスト集、valとogiyyのファットな正統派ヒップホップ、信狂楽団のBOSA2がSATOと組んだハイブリッドな狂ラップ盤、不可思議/wonderboyやtofubeatsも招いたCOASARUの奇想天外なリーダー作……と、大括りに言えば〈ヒップホップ〉中心ということになるのだろうが、各々の作品が相通じるディープな魅力と異なる輝きを放っているのは言うまでもない。

また、COASARU作に参加していた空也MCのシングル『七夕の國』も、三上寛にオマージュを捧げたジャケさながらの生々しい世界をレイトやDJ TAMAKIらと作り上げていた。その延長線上に『ロータリー・ソングズ』が置かれても不思議はないわけで、例えばゆーきゃんやシグナレスが好みなら術ノ穴の他タイトルを掘ってほしいし、その逆もまた然り、ということです。

 

▼術ノ穴の2011年作品。

左から、Fragment『鋭ku尖ル』、DOTAMA『ホーリーランド』、Geskia『ALIEN』、val & ogiyy『taste of freedom』、BOSA2『RISTORANTE B』、COASARU『別人格コアサル』、空也MC『七夕の國』(すべて術ノ穴)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年10月27日 20:40

更新: 2011年10月27日 20:40

ソース: bounce 337号(2011年10月25日発行号)

文/出嶌孝次

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