インタビュー

DIMENSION



20年周年を目前にさらに飛躍する唯一無二のインストゥルメンタルグループ

90年代にシーンに登場して来年で結成20年を迎えるディメンション。

Jフュージョンが隆盛を極めた70年代~80年代にはいろいろなバンドが生まれ、その中にはTスクエア、プリズムなど、30年を超え現役の長寿バンドがいるが、ディメンションもその後を追うように年月を重ねたといえそうだ。

「ここ何作か、コンセプトは一切考えず、自分たちの中でその時出てきたものを音にしていっています。ラッキーなことに1年に1回、アルバムを出せていますので、その音の記録みたいなものとして取り組んでいる感じですね」

今回のアルバムは『24』。ギターの増崎孝司、キーボードの小野塚晃、サックスの勝田一樹の3人のハイテク・サウンドがバランスよく配置され、それが炸裂した強力な最新作だ

「曲作りの中で僕ら3人はまずちょっとしたアイデアから作り出すことが多いんですけれど、それがまったくゼロの時もあったりもします。曲として形にしていく中で、たとえばこの曲のメロディはギターがいいなとか、サックスがいいなとか。三者の出番がどうとかいうことではなく、曲ありきでそれぞれがフィーチャーされて、いい音楽になり、それがみなさんに届けられるということを考えながらやっていっているというのが三人の役割のバランスの良さにもつながっているんじゃないでしょうかね」

アルバムに収録された全10曲は疾走するグルーヴ・ナンバーから、緻密で色彩感にあふれたナンバーまで多彩。

「普通よくやるように誰かがコンポーザーとして曲を書いて、なんてことはやらず、僕ら3人で最初のアイデアを発展させて作っていくので、そこが他のバンドと大きな違いでしょうね。まったく何もない状態のところから音楽を作り始めることもあります。昔、よくバンドでスタジオに入って曲を作る、なんてことがありましたけど、それに近いですよ。曲を形にするのにPCを使ったり、シンセを使ったり、バンドで音を出すときとは違うものを使ったりもしますが、やっぱりみんなでアイデアをぶつけて作っていくという方法ですね。そうやって自由な発想で出来ているからこそ、ディメンションの音楽は面白いんだと思います」

ゲストにはドラマーに則竹裕之、坂東慧、吉田太郎、ベースに川崎哲平ら。ご存知の通り、ディメンションは結成以来、リズム・セクションに固定メンバーはいない。

「このところ何作もゲスト・メンバーは基本的には変わっていないですね。僕らは元々リズム・セクションがいないので、レコーディングでは曲にあわせてリズム・セクションに好きな人をチョイスできるメリットもあって、それがまた面白みでもあるんですね。またみんなディメンションのことが好きでいてくれて、僕らのために前向きにやってくれる人たちばかりで。僕らは音楽ありきなので、固定メンバーになっちゃうとそのメンバーに得意、不得意があるせいで、こういう曲は出来て、ああいう曲は出来ないなんてことになるのはいやなんですよね。デビューした90年代の頃はジャズ・フュージョンのバンドにリズム・セクションはいて当然だ、ということを何度も言われてきましたが、いなかったことで結果として音楽の幅が広がったと思うんですよね。日本のミュージシャンだけでなく海外のミュージシャンとやってもいいわけですし。だからこの方が、いろんなことが出来る可能性がありますよね」

インスト・バンドではあるが、メンバー3人はジャズ・フュージョンの枠にとらわれない見方で常に音楽をクリエイトしているところもディメンションの魅力だ。

「これまでもいろいろな音楽の傾向を取り入れてアルバムを作ったりもしてきましたが、自分たちの核になっていることはそんなに変わっていません。僕ら音楽をやる側としては音楽全体が好きで、ひとつのジャンルをやっているというわけではなかったりします。いろいろなジャンルが存在して、聴く人もその中からあれこれ聴いて、その中で僕らの音楽を楽しんでもらえるのなら、うれしいですよね」

来年結成20周年にむけて、なにかスペシャルな予定は?

「今の段階ではまだないですが、いつものライヴハウス的なところではなく、ちょっと大きめのホールで違った見せ方をしてみて、というのもいいでしょうね。この20年という節目の数字の意味に期待するファンもいらっしゃるでしょうし。僕らのような音楽が核になったイヴェントみたいなものができるとか、いろいろ考えてみますのでお楽しみにしていてください!」


LIVE INFORMATION
12/29(木)30(金)
開場18:30/開演20:00
会場:目黒ブルースアレイジャパン


カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年12月22日 11:58

ソース: intoxicate vol.95(2011年12月10日発行)

取材・文 馬場雅之(タワーレコード本社)