インタビュー

幅広いカヴァー曲のなかから立ち上る、彼女の匂い



YouTube上で顔は出さず、他人の曲を歌うことによって、彼女の情感豊かな歌声にフォーカスが絞られたのはたしかだが、それにしても彼女のカヴァー・チョイスは幅広い。〈山音まー〉名義での『人のオンガクを笑うな!』はVOCALOID楽曲のカヴァー盤だし、そもそも彼女のYouTubeチャンネルでは、YUI、阿部真央といったわりと近い世代のシンガーから、荒井由美、中島みゆき、スピッツ、Mr.Children、斉藤和義、宇多田ヒカル、椎名林檎、果てはAKB48まで、強い思い入れがある楽曲ばかりを選んだというよりも(もちろん、好きでもない曲は歌っていない)、自身の歌声、その可能性を試して行くかのように、さまざまな曲が彼女の声を通して発信されている。カヴァー・アルバム『ざっくばらん』でも銀杏BOYZ、広末涼子、エレファントカシマシ、キャンディーズなど、『STAR e.p.』ではプリンセス・プリンセス“M”をオリジナル以上の熱量で聴かせている彼女──その歌声を聴いていると、情熱的で素直な人間性、さらには〈性〉の匂いすらも感じ取ることができたり(YouTubeで「セックスと音楽がどこか似ているように思えた」と語っている)。

「近い友達からは〈万理奈は歌と恋愛に生きる人〉だって。駆け引きは苦手なので、傷つくときは傷つくし、傷つけたなって思うこともあるし(笑)。恋愛依存症だと思わないんですけど、やっぱりそういう感情を大切にしてるし、たくさん良い経験ができると思うので、まあ、いろいろありましたねえ……とは思います」。


▼山根万理奈がカヴァーしたアーティストの作品を紹介。

左から、YUI『HOLIDAYS IN THE SUN』(ソニー)、荒井由実『ひこうき雲』(EMI Music Japan)、AKB48のベスト・アルバム『神曲たち』(You, Be Cool!/キング)、銀杏BOYZの2005年作『DOOR』(初恋妄℃学園)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年01月25日 17:59

更新: 2012年01月25日 17:59

ソース: bounce 340号(2012年1月25日発行)

文/久保田泰平

記事ナビ