インタビュー

MICHAEL KIWANUKA



〈フジロック〉出演に続き、すでに名盤の誉れ高い『Home Again』が日本盤で登場!



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一曲、また一曲とプレイするごとに、どんどん大きくなってゆく拍手と歓声。それが終演時には怒涛のように激しくなり、いつまでもいつまでも、鳴りやむことなく続いた——今年の〈フジロック〉最終日、レッド・マーキーでの光景である。その舞台に立っていたのは、まだ日本デビュー前にして〈フジロック〉出演を果たしたマイケル・キワヌーカ。

「自分でも、すごく楽しめたよ。日本のオーディエンスは、いままで行ったどことも違っていた。もちろんラヴリーでもあるんだけど、とても温かく迎えてくれて、敬意を払いながら一生懸命に音楽を聴いてくれるんだよね。その感じがステージにもしっかり伝わってくるんだ。本当に嬉しかったし、演奏もより良いものになったと思う」。

UKはノース・ロンドン出身、アフリカ移民の両親を持つシンガー・ソングライター。アデルのツアー・サポートに抜擢されたり、早々に実現した単独ツアーも全公演完売となるなど、すでに本国で大ブレイクしている彼は、まだ24歳の若さなのだが、その音楽のルーツが興味深い。マーヴィン・ゲイにオーティス・レディング、マイルス・デイヴィス、ボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェルなど、往年のアーティストばかりなのだ。

「何世代も前の音楽が好きな理由をよく聴かれるんだけど、自分でもよくわからないんだよね。たぶん、ラジオで流れてくるような音楽とは違うことが魅力的だったんじゃないかな。それに、あの頃の音楽って感情表現にものすごく深みがあるし、心に訴えるものがあると思う。自分でも、そういう音楽をめざしていきたいんだ。BGM的な流すような聴かれ方じゃなくて、聴いていて何か得るものがある音楽であってほしいっていうか」。

そして、全英チャートで堂々の4位を記録した、この注目の新星のデビュー作『Home Again』が、満を持して日本盤で登場した。アコースティック主体の温かみのある演奏で、ジャズ〜ソウル〜フォーク〜ロックと自在に渡り歩く豊饒なサウンドと、優しく寄り添うような慈愛に満ちた歌声に、心潤される一枚だ。

「僕の音楽を説明するのは、ちょっと難しいかもしれないね。まあ、ミクスチャーなんだろうけど、極めてシンプルに言うのなら、マーヴィン・ゲイの声でボブ・ディランの曲を歌っているような音楽、そんな感じじゃないかな(笑)。このアルバムを日本のみんなにも楽しんでもらえたら嬉しいし、これから何度でも日本に来て、音楽をいっしょに分かち合うことができたらって思っているよ」。



カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年10月23日 21:40

更新: 2012年10月23日 21:40

ソース: bounce 348号(2012年9月25日発行)

インタビュー・文/鈴木宏和