ブレインフィーダーはいまどうなってる?
立ち上げ当初のブレインフィーダーといえば、その設立前から築き上げられてきたフライング・ロータスのコネクションをそのまま映し出す縮図のようでもあった。デイデラスやガスランプ・キラー、サムアイアム、ラスGといったビート・ジェネレーションを代表する面々が集まり、彼のバックを務めるベース奏者のサンダーキャットは言わずもがな、〈ファミリー〉を世に出していくためのレーベルだったと言ってもいい。昨年移籍してきたオランダ出身のマーティンにしてもロータスの“RobertaFlack”をリミックスしていたという前歴があるわけだし、トキモンスタにしてもティーブスにしてもマシューデヴィッドにしてもLAを拠点としているわけで、ロータス宇宙の住人たちを引き寄せる磁場であったと言い換えることもできそうだ。
しかしながら、ローンのニンジャ・チューン移籍なども経た現在のブレインフィーダーは様相を少しずつ変えながら、その先の段階へと進んでいるようだ。今年に入って移籍してきたライアットはサウンド的にはレーベルカラーとの親和性を備えつつも独自の道を進んでいる感じだし、ボノボのリミックスなどで知られたラパラックスも自主リリースで知られてきたポスト・ダブステップ式R&Bを勝手に追求している頼もしい才能である。そして、ジェレマイア・ジェイだ。サムアイアムに見い出されてブレインフィーダー入りした彼は、シカゴ出身のMC兼トラックメイカー。J・ディラに捧げたミックステープで脚光を浴びたという逸話はいかにもだが、タフなラップと曲作りのマナーはそこに止まるものではない。「今後はヒップホップをたくさん出していく」とロータス自身も話していることだし、もしかしたらこの先のブレインフィーダーは、ワープやニンジャではなくストーンズ・スロウのような方向で育っていくのではないだろうか。早くも次のリリースに期待したくなってしまう!
▼2011年のブレインフィーダー作品を一部紹介。
左から、サンダーキャット『The Golden Age Of Apocalypse』、トキモンスタのEP『Creature Dreams』、マーティン『Ghost People』、ティーブス『Collections 01』(すべてBrainfeeder)
▼2012年のブレインフィーダー作品。
左から、ライアット『Totem』、ラパラックス『When You're Gone』、ジェレマイア・ジェイ『Raw Money Raps』(すべてBrainfeeder)