インタビュー

映画『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』 ──マドンナ監督インタヴュー

「何が彼をそうまでさせたの?」  20世紀最大のスキャンダルに魅了されて

監督・脚本を手掛けたマドンナは長年『W.E.』の構想を温めてきた。彼女はウィンザー公爵夫妻にずっと魅了されてきたが、従来の伝記映画を作ることに興味はなかった。20世紀屈指のロマンスを彼女自身の解釈で描こうと努めた。マドンナは語る。

「私は以前から公爵と公爵夫人の話に魅了されていたの。外にディナーを食べに行く度に彼らの名前を話題に出したわ。すると火に油を注いだかの如く、皆 彼らが何者だったのかを激しく論争し出すの。彼らの事を読む度に、彼らへの気持ちは変化したわ。舞い上がるように魅了されたかと思ったら、表面的に思えて苛立ったり。そして次の瞬間、彼らは私たちと同じ人間なんだと思ったり。この人物は王位を棄てたのよ。何が彼をそうまでさせたの?それが一人の女性のため、愛のためだとしたら、その女性は何を持っていたの?」

2010年春には、マドンナは本作のキャスティングに取り掛かった。ウォリス・シンプソンを演じるのにふさわしい女優を見つけるのがこの物語を描くには不可欠だった。マドンナはウォリスの元気いっぱいの〈活力〉とかすかなもろさも体現できる女優を求めていた。高い評価を得た英国の女優、アンドレア・ライズブローが最終的にウォリス・シンプソン役に起用された。彼女はBBCのTV映画『マーガレット・サッチャー ~政界を夢見て~』で成功を収めたところだった。アンドレアの起用について、マドンナは付け加えた。

「ウォリス・シンプソンの人間性、エネルギー、話し方などはあまりに独特で、彼女を演じられる人物を見つけるのは不可能に近かったわ。アンドレア・ライズブローが部屋に入ってきた瞬間、彼女だって分かったわ。彼女に会うと周りに話したら、皆 口を揃えて『ダメだ、彼女は若すぎる』と。けれどアンドレアの素晴らしいところは、幅広い年代を演じられる顔を持っているところなの。様々な感情の表現もね。彼女と仕事するのは最高だったわ。彼女は言葉を発していない時でも、女優としての力を持ってるの」

マドンナは2007年に、アレック・ケシシアン(ドキュメンタリー作品『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』を共同で製作)に声をかけ、共同で本作の脚本を手掛けた。撮影には『善き人のためのソナタ』で撮影を手掛け、ドイツのアカデミー賞を受賞したハーゲン・ボグダンスキーが本作の撮影に起用された。

「最も優れた撮影監督に恵まれたわ。最高の衣装デザイナー。ヘア&メイクアップデザイナー。そして素晴らしいスタッフ。凄い人たちに囲まれれば上にいけるわ。注意さえしてればね。映画を見た人たちが、『公爵夫妻についてあれは知らなかったな』とか、『ウォリスのあんな面を知らなかった』とか、『そんな風に考えてなかったな』とか、『自分もああいう抜けられない関係があったな』とか言って、何かしらのレベルで繋がりを感じてくれたなら、私は嬉しいわ」

—— 映画オフィシャルインタヴューより

映画『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』

監督:マドンナ
脚本:マドンナ、アレック・ケシシアン
音楽:アベル・コジェニオウスキ
出演:アビー・コーニッシュ/アンドレア・ライズブロー/ジェームズ・ダーシー/オスカー・アイザック

配給:クロックワークス(2011年 イギリス 119分)
◎11/3(土)新宿バルト9、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー

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カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2012年10月30日 15:42

ソース: intoxicate vol.100(2012年10月10日発行号)