インタビュー

神保彰

神保彰

不動のメンバーとともに、今年も2枚同時リリース

“世界のドラマー神保彰” の最新リーダー作『マインド・スコープ』がとどいた。エレクトリック・バードからの7作目であり、1作目からの不動のメンバー、エイブラハム・ラボリエル(b)、オトマロ・ルイーズ(P) 、そして4作目以来レギュラー・ギタリストを務めるアレン・ハインズが彼を支えている 。また、3作目に全面参加したものの、その後は多忙のため参加が叶わなかったマイケル・ランドウも2曲においてツイン・ギターの一端を担っている。本作はドラマー、ソングライターとしてばかりでなく、アレンジャー、プログラマー、プロデューサーという役割を含めた現在の神保彰を100パーセント体感できる注目盤であり、彼の音楽家としての優れたバランス感覚を見事に証明した好盤でもある。

「毎年ハロウィンの時期に行なっている、お馴染みのメンバーによる恒例のLA録音です。彼らは僕が事前に思い描いていた曲のイメージをレコーディング現場で何倍にも膨らませてくれます。僕の演奏もそれに瞬時に反応するので、現在の自分の実力が如実に表れて面白い。それがたのしみで毎年出掛けて行くんですよ」

そして巧妙な選曲と随所にこだわりを盛り込んだアレンジによる大胆なカヴァー作『ジンボ・デ・カヴァー2』も同時リリース。

「これはワンマン・オーケストラのレパートリーを基に、エイブラハム・ラボリエル、オトマロ・ルイーズとのトリオ編成で一捻り二捻り加えたものです。昨年の1作目が好評だったので、こちらもシリーズ化しようかと…(笑)。ワンマン・オーケストラでやる時とは違って自由度が得られますから、ここではドラマーとして叩きまくっています(笑)」

多岐に渡るプロジェクトで活躍する神保彰ではあるが、100パーセント彼の世界観を表現できる場として、このLAカルテットによるリーダー・ソロ作品には格別の思いがあるようだ。

「この2枚はLAでレコーディングからミックス/マスタリングまで実働9日間というスーパースピードで仕上げています。でも準備にはたっぷり1年間かけているので、内容はとても濃いと思います。また、サウンドのテイストを全く変えてあるので、そんな細かい点も聴き取っていただければ幸いです。『ジンボ・デ・カヴァー2』は典型的なLAサウンドですが、『マインド・スコープ』は “リヴァーブを極力使わないことによるリアルな音像” が僕の作品における新しい試みです。ぜひ、両方の作品を聴きくらべていただければと思いますね」

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年02月22日 16:13

ソース: intoicate vol.102(2013年2月20日発行号)

取材・文 近藤正義