インタビュー

3人のフジファブリックになってからの動きをプレイバック!



ここでは、3人体制になって以降の作品を紹介。まず、志村正彦が遺したデモやレコーディング途中の音源を元に作り上げた『MUSIC』(2009年)は、山内、金澤、加藤の演奏家としての実力を強く印象付ける作品だった。特に山内がリード・ヴォーカルを取る“会いに”“Mirror”は新機軸となったわけだが、〈3人の出発点〉と言うよりは、〈4人のフジファブリック最後の作品〉と呼ぶほうが相応しいだろう。そして翌2010年7月の野外ライヴ〈フジフジ富士Q〉もその延長線上にあり、奥田民生、吉井和哉ら15組のゲスト・ヴォーカルを迎えたステージは、本公演を収めたDVDを観ても華やかで感動的だった。やはりこちらもこれまでのヒストリーを締め括る意味合いが強く感じられる。

同年8月には3人でフジファブリックを続けると発表してファンを喜ばせたが、その第一歩が各々でのサポート活動だったとはユニーク。金澤はASIAN KUNG-FU GENERATIONのツアーに、山内はくるり主催〈京都音楽博覧会〉に続いてくるりのツアー、さらに斉藤和義のライヴへも参加。それらの経験が本隊での活動にあたって良い影響をもたらしたのは間違いないだろう。なおライヴDVD「京都音楽博覧会2011 IN梅小路公園」では、山内が小田和正や細野晴臣とセッションする様子や、フジファブリックでのパフォーマンスが収められている。

そして2011年に『STAR』をリリース。全員が作詞/作曲に関わり、山内が歌う楽曲は、かつて志村が持っていたポップ性と変態性に、この3人に共通する親しみやすさを加えたようで、ここに晴れて3人体制の新しいフジファブリックがスタートする。ちなみに、同時期に発表された映画「モテキ」関連のカヴァー・コンピには、小沢健二“僕らが旅に出る理由”で参加。浮遊する電子音を交えたファンタスティックなナンバーに仕上がっているので、そちらも要チェックだ。



▼文中に登場した作品。

左から、フジファブリックの2009年作『MUSIC』、2011年のライヴDVD「フジファブリックpresents フジフジ富士Q -完全版-」(共にソニー)、DVD「京都音楽博覧会 IN梅小路公園」(スピードスター)、フジファブリックの2011年作『STAR』、2011年のコンピ『モテキ的音楽のススメ Covers for MTK LOVERS盤』(共にソニー)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年03月13日 18:00

更新: 2013年03月13日 18:00

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

文/宮本英夫

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