インタビュー

INTERVIEW(4)——意味がわからないからこそ楽しめる



意味がわからないからこそ楽しめる



Yun*chi



――アートワークやMVの話も訊ければと思います。まず、このジャケットは吉田ユニさんですよね。撮影は大変だったと思いますが。

「はい、ほんとに(笑)」

――どういうところからこういうジャケにしようっていうふうになったんですか?

「“Shake you*”の〈シェイクする〉っていうこと、Yun*chiが暴れて手足の軌跡が残っているものっていうのを実写でやろうってことになって。色とかも〈Yunちゃん、最近青好きって言ってたから青にしようと思うんだよね〉って言ってくださって、青を使ってもらったりとか。もうネックレスとかまで飛んだりしてて、すごく大変でした」

――CGはあえて使ってない。

「はい、実際のものを撮るっていうのが大事で。だから、あの足の実物があるんです(笑)。私、曲のなかでもあんまりオートチューン使ってないし、ライヴでも生歌で歌ってるので。そういうのもユニさんは知ってるので、こんな感じでやってくれてるのかなって思ったりもします」

――前の『Yun*chi』のジャケットも実際に撮影したものを唇っぽく見せてたし、“Reverb*”のMVもCGじゃなくてアナログっぽいし。

「そうなんですよね、そういうところは大事にしていきたいっていうのがあって。“Reverb*”は実際にVJでやったりとかしてたので。やっぱりパッと聴いたらテクノ・ポップとかダンス・ミュージックのイメージはあるし、それも好きだけど、それだけじゃないんですよね。私もいろんな音を好きになって大人になってきたから、そういう人になれたらいいなっていうのが夢としてあるので、そういう意味合いも込めての感じですね」

――“Shake you*”のMVは、Yun*chiさんが耳から入っていくっていうストーリーになっていますが。あのコンセプトはどういうふうに?

「あれは監督の浜根玲奈さんと二人でご飯を食べながらお話をさせてもらって、歌詞の話をして。そこからですね。〈耳から入っちゃえばいいんじゃない?〉っていう話になって(笑)。別にそこまで気付かなくても、観てるだけで楽しいし、意味がわからないからこそ楽しめるものにできたらいいなっていうのはあって、でも説明してもらったらちゃんと〈あ、こういうことなんだ〉ってわかるみたいなのを作りたいんですよって」

――これも撮影は大変でした?

「めちゃめちゃ大変でした(笑)! 〈Yun*chi菌〉の衣装の時に、おでこと眉毛を出さなきゃいけないっていうの、すごく恥ずかしいんですよ、しかも上に乗せてるヘッドドレスがすごい大きくて。撮影が全部で20時間ぐらいかかって、そのうち連続で8時間ぐらい乗せてたら、たんこぶができちゃった(笑)。そのたんこぶも何日か治らずに、けっこう痛い思いをしながら撮影をしたので、みんな観てもらいたいですね。曲も聴いてもらいたいです。いろんなことができたから」



振り幅が広がった





――2枚のミニ・アルバムを作って、Yun*chiさんがやりたいことをどんどん実現できている感じはあるんじゃないかと思いますけれども。

「そうですねえ。曲もけっこういろいろできたと思うんですよ。ずっとやりたかったトラップ・ミュージックだったりとか、ドリーミーな世界観だったりとか、みんなでノレる速いテンポのものだったりとか。バラードも歌えたし」

――なるほど。それを踏まえて訊きたいんですけど、たとえばYun*chiさんは〈KAWAii!! MATSURIi〉に出演されますよね。いろんなアーティストやアイドルが〈可愛い〉って括られてるけれど、〈可愛い〉っていろんなタイプのものがあると思うんです。そこで、Yun*chiさんの思う〈可愛い〉というセンスについて訊きたいんですけれども。

「私としての〈可愛い〉ですか? 可愛いのかなあ、私(笑)? 何が可愛いか、よくわからないんですよ、実は。でも、ギャップはあるかもしれない。両極端な性格だったりとか、あとは大人っぽく見えたり子供っぽく見えたりのギャップが激しいとか。声がこんなだけど、中身はけっこうおじさんだったりとか(笑)。そういうギャップっていうことでは可愛さのひとつなのかな?って思いますけどね。どうなんだろう?」

――お話を聞いてると、確かに一筋縄ではいかない感はします。

「そうなんですよ(笑)。みんなに〈何言ってるか、わかんないんだよね〉ってよく言われるので。私、曲を作っていて人に説明するときも擬音が多いんですよ。だから、ほんとに〈超わかんない〉って言われます。でも、今回はほんと、いい曲がいっぱい出来た気がしますね。ちょっとずつ振り幅が広がった気がします」

――Yun*chiさんっていうのが一面的なキャラクターじゃなくて、〈どうやらこの人は、いい意味で手に負えないかもしれない〉って気付きはじめるんじゃないか、と。

「あははは! やっぱりリード曲だけを聴いてるとなかなか気付いてもらえないんで、せっかくなら全部聴いてもらえるといいなとは思いますね。そうするとよりわかってもらえると思うし。5曲全部聴いてほしいです」


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掲載: 2013年04月17日 18:01

更新: 2013年04月17日 18:01

インタヴュー・文/柴 那典