充実のビビオグラフィー
『Fi』 Mush(2005)
自身の撮った写真でジャケを飾り、現在の美意識も当初から貫かれていたことがわかる初作。アコギのキュルキュル鳴る牧歌トロニカに寂しげな不穏さを吹き込んだ感じで、リチャード・ロバーツ(現レザレット!)が1曲の共同プロデュースに参加している。
『Hand Cranked』 Mush(2006)
マッシュからの2作目。アコギやシタールをループした手回しフィルムのような音世界は前作以上の郷愁に包み込まれている。ジェイムズ・ブレイクと“Overgrown”を聴き比べるのも一興。
『Vignetting The Compost』 Mush(2009)
ほぼ全編でボーズ・オブ・カナダ路線を極めたマッシュへの置き土産。なかでも、光がこぼれ落ちるような大自然トロニカの名曲“Flesh Rots, Pip Sown”は素晴らしい。ジャケは不気味。
『Ambivalence Avenue』 Warp(2009)
晴れやかに歌う表題曲などのソフト・ロック気分も驚きだが、執拗な声ネタ使いに燃える“Fire Ant”やゴツいビートの“Sugarette”やなどはLAシーンとも共振するカッコ良さ。ワープ移籍という環境の変化以上に進化した大作!
『The Apple And The Tooth』 Warp(2009)
この年3枚目となったアルバムは、新曲4つにリミックスをプラスした変則的な内容。レザレットやクラークなど過去に絡みのある連中以上に、ローンやエスクモ、キーヴァー&ブラウズ(コナ・トライアングル!)らの緻密な仕事がいい。
『Mind Bokeh』 Warp(2011)
サックスもベースもギターもトークボックスもトライアングルも牛乳ビンもカウベルも……ということで、自身で演奏&採取した音の源泉をすべて列記した、こだわりの大作。大ぶりなビートからポジティヴなトーンを広げていく“Anything New”など、前作以上に人懐っこい歌モノが素晴らしい。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2013年05月23日 19:00
更新: 2013年05月23日 19:00
ソース: bounce 354号(2013年4月25日発行)
ディスクガイド/出嶌孝次