インタビュー

『コンサート』の前に予習しとくべき般若のアルバム・ディスコグラフィー



『おはよう日本』 FUTURE SHOCK/ポニーキャニオン(2004)

前年の先行シングル“神輿”を経てのファースト・ソロ・アルバム。暴言からエロ噺まで直情的な表現が目立ち、ジャケも物騒に見えるが、その刃の向きからわかるようにその本質は現在のストイシズムと変わらない。当時レーベルメイトだったMACCHOらがゲスト参加。

 

『根こそぎ』 FUTURE SHOCK/ポニーキャニオン(2005)

秋田犬どぶ六の歌うフック以外はワンマイクで突っ走る2作目。“やっちゃった”“花金ナイトフィーバー”という笑かし系の人気曲も備えつつ、“遠吠え”などのブルージーな味がここで提示されたのはデカい。50セントやナズ、長渕剛からの影響が共存するのも般若らしいところだ。

 

『内部告発』 妄RECORDS(2006)

レーベル移籍、シングル“オレ達の大和”のヒットを受けての3作目。内部告発=内面の告白と解釈すれば、グッと深度を増した説得力が、以前のブチ切れたエグさ以上の重みを言葉に与えていることもわかるはずだ。前作のリリカルな部分を受け継いだ“向こう側”が胸に迫る。

 

『ドクタートーキョー』 昭和レコード(2008)

自身のレーベルからの第1弾。新作中の“終わる日まで”を手掛けるJAM KANEが提供した“カス”(リリックが……)をはじめ、フラットな人選による芯の太いトラックに乗る言葉はいっそうストレートに。長渕剛がプロデュースした“チャレンジャー”というサプライズもあり。

 

『HANNYA』 昭和レコード(2009)

〈UMB 2008〉の全国制覇でバトルの評価を盤石にしておいて……このジャケとは! 初期衝動をパワフルに語る“最ッ低のMC”があれば、愉快犯ノリな曲や率直なラヴソングもあり、バランスは明快に彩りを増している。公募で選出されたRoderickのほか、CAMELの参加にも注目。

 

『BLACK RAIN』 昭和レコード(2011)

震災や原発事故の前後で半分ずつが作られた6作目。とはいえ楽曲の放つ強さがまだらになっていないのは流石で、冒頭の“足音”からハードな闘気が漲る。公募で抜擢されたPENTAXXX.B.Fによる“カバディ”の味わいと“ビルの向こう”の決然とした空気は新作にも通じるものだ。

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掲載: 2013年07月24日 17:59

更新: 2013年07月24日 17:59

ソース: bounce 357号(2013年7月25日発行)

ディスクガイド/出嶌孝次

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