インタビュー

John Frusciante

ジョン・フルシアンテの果てなきサウンドへの探求心
「夢の国」への冒険へと旅立つ新作EP『アウトサイズ』をリリース!

元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテは、孤高のギター・ヒーローとして長年ファンに崇められてきたが、バンド在籍中は長いツアー生活に疲れ果て、脱退後はレッチリの音楽性からは予想もつかない冒険的なサウンドをソロ活動で追求するようになった。「バンドに最後に戻った期間中は、シンセ・ポップ、90年代のレイヴ・ミュージック、ヒップホップ、エレクトロニック・ミュージックを聴きながらギターの練習をしていたんだ。そこから、自分でもエレクトロニック・ミュージックを作りたくなったんだよ」。レッチリ脱退後にリリースされた2009年の『ザ・エンピリアン』はソングライターとしての彼の才能を遺憾なく発揮された作品だったが、その後にリリースされた2012年のEP『レター・レファー』やアルバム『ピー・ビー・エックス・ファニキュラー・インタグリオ・ゾーン』から、“ギタリストのジョン・フルシアンテ”というイメージから脱却し、エレクトロニック・ミュージック・プロデューサーとしてのジョンが誕生した。「色々なエレクトロニック機材に囲まれて曲を作ることは、俺にとって刺激的だったんだ。自分がただのギター・プレイヤーではなく、コンポーザーになった実感があったんだよ。エレクトロニック・ミュージックを作ることは、俺にとって音楽的に自由であることを意味しているんだ」

そんな彼の最新EP『アウトサイズ』は、彼に影響を与えてきたエイフェックス・ツイン、オウテカ、ヴェネチアン・スネアズなどのエレクトロニカ的要素を、 ギター・プレイとユニークな方法で融合させることで、全ての音楽的壁を破壊した“フルシアンテ・ワールド”を確立させた。「通常エレクトロニック・ミュージックを作る人はコンピューターに向かって作業するけど、俺のスタジオではギターやドラムマシンをモジュラーシンセに通したり、全ての音がスタジオの中で飛び交っているような状態なんだよ。俺がやりたいことは、あらゆるルールを破って、 あらゆる音楽的カテゴリーから解放された状態で音楽を作ることなんだ」

EPの冒頭を飾る《Same》はなんとブレイクビーツの上に10分間も ギターソロが乗せられた壮大な楽曲だが、彼はエレクトロニック・ミュージックにどっぷり浸かったことで、ギターの演奏法までも進化してきたという。「ローランドMC-202という古いアナログ・シンセをよく使っているけど、6オクターブのメロディをこのシンセで演奏することがよくある。その考え方をギターに適応することで、今まで思いつかなかったメロディが可能になったんだ」

《Outsides》というタイトルは、 彼の内面にある豊かな音楽的世界を象徴しているようだ。「俺にとって音楽を作ることは、夢の国に行って旅行をするような感覚なんだ。その国で色々な冒険をして、色々な刺激な出逢いがあるから、俺が音楽を作っているときの内面の世界が、普通の人にとっての外の世界なんだ。俺が音楽を作るときは、時空を超えて旅ができるんだよ」

今後ジョンはエレクトロニック・ミュージックを軸にしながら、ラッパーとのコラボレーション作品も予定しているが、全ての音楽的制限を飛び越えて邁進し続ける彼から目が離せるはずがない。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年08月22日 19:10

ソース: intoxicate vol.105(2013年8月20日発行号)

interview & text:ハシム・バルーチャ