インタビュー

KOBUDO-古武道-



KOBUDO_A



想像を超えたコラボレーションの魅力〜KOBUDO

尺八、チェロ、ピアノという楽器による、おそらく世界で唯一のインストゥルメンタル・ユニット〈KOBUDO—古武道〉。2011年以来となる新しいアルバム「OTOTABI—音旅」をリリースした。

「前作の『イツクシミ』は女性ヴォーカリストをゲストに招いたアルバムでしたが、今回は3人の原点に立ち返るというか、全部インストゥルメンタルの作品でまとめてみようという所からスタートしました」 と、ピアノの妹尾武。

「毎年ライヴ・ツアーを行うのですが、今回のアルバムにはそのツアーで手応えを得た作品を収録しています。もちろん3人それぞれのオリジナル作品も。音旅というアルバム・タイトルは、まさにツアーの中で練り上げられて来た音楽を録音する、そして再びここから出発する、そんな意味合いを込めています」 と、チェロの古川展生。

「僕のオリジナル作品《道遥か》は熊野古道を歩いている時に、音楽のインスピレーションを得た作品です。悠久の昔から、実際にそこを多くの人が歩いて出来た道なので、まさに道に、旅に歴史がある。それを感じながら作品を書きました」 と、尺八の藤原道山。

新たなアルバムを録音する時に、メンバーそれぞれがオリジナル作品を持ち寄るというのは、KOBUDOが始まった時に決めたこと。それをしっかり守っている訳だ。

「実際に作品を書くのはなかなか大変です。僕の場合はクルマに乗っている時に、ふとメロディを思いついたりすることもありますね」(古川)

「KOBUDOのための作品を書く時には、やはりチェロや尺八の音色を意識しています。このメロディ・ラインがその楽器で演奏されたら、と」(妹尾)

クラシックからの編曲作品としては、ロドリーゴのギター協奏曲としてあまりに有名な《アランフェス協奏曲第2楽章より》、印象派の巨匠ドビュッシーのユーモア溢れるピアノ曲《グラドゥス・アド・パルナッスム博士》、超絶技巧を要するリストの《ハンガリー狂詩曲第2番》、そしてマリンバのSINSKEをゲストに迎えたハチャトゥリアンの《レスギンカ》など。邦楽器である尺八で演奏するには難しい曲もありそうだが。

「確かに尺八には孔が5つしかないので、細かな音程を出したり、素早く音階を動いたりするのは難しいのですが、なんとか頑張っています」(藤原)

普段はそれぞれの世界で活躍する3人による演奏は、ジャンルを超えた魅力を持つ。新譜をひっさげてのコンサート・ツアーもとても楽しみだ。



LIVE INFORMATION


『KOBUDO-古武道- 〜尺八・チェロ・ピアノ コンサート〜「OTOTABI-音旅-』

○11/1(金)千葉・京葉銀行文化プラザ 音楽ホール
○3(日)福岡・福岡市民会館
○4(月・祝)大分・中津文化会館 大ホール
○14(木)東京・オペラシティコンサートホール
○15(金)福島・郡山市民文化センター 中ホール
○29(金)愛知・アートピアホール
http://kobudo-otoemaki.com/



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年10月28日 10:00

ソース: intoxicate vol.106(2013年10月10日発行号)

interview&text : 片桐卓也