きのこ帝国×paionia
[ interview ]
共にUKプロジェクトのDAIZAWA RECORDSに所属する若手バンドであり、12月4日にそれぞれ新作を発表したきのこ帝国とpaioniaが、12月20日にタワレコ渋谷店B1F・CUTUP STUDIOで合同インストア・ライヴ〈きのこ帝国『ロンググッドバイ』×paionia『rutsubo』発売記念 ~代沢まつり インストアライブ編~〉を開催。それに先駆けて、両バンドのフロントマンである佐藤(きのこ帝国)と髙橋勇成(paionia)の対談を行った。年齢もバンドのデビューの年も同じ、さらにはどちらも東北出身ということもあって、シンパシーを寄せ合うこの2人。悩める青年風の髙橋に、意外な(?)お姉さん気質を発揮する佐藤というキャラクターの対比のおもしろさもさることながら、現在の状況に葛藤しつつも、それでもいまを生きる両バンドの姿が印象的な対談となった。
先輩方と肩を並べられるようになんなきゃ
――お2人は仲良しなんですか?
佐藤「……仲いいと思います(笑)」
髙橋「バンド関係の友達がそもそもあんまりいないので、そういう意味ではいちばん話せるというか」
――勝手なイメージで申し訳ないんですけど、2人ともすぐに打ち解けるっていうタイプじゃないような……どうですか?
佐藤「髙橋君のほうがこじれてると思います(笑)」
髙橋「だいたいバンドの人と話す機会って、打ち上げだったりとか、お酒の席だったりするんで、そういうときはわりと話せると思うんですけど……どうですかね?」
佐藤「居酒屋とかに行くと、よく髙橋君の悩み相談室みたいになりますね。〈これからどうして行ったらいいんだべ?〉みたいな。あ、同じ東北出身なんです」
――佐藤さんが岩手、髙橋君が福島ですよね。
佐藤「なので、親近感はあるんですけど、とにかく彼は悩みがちなんです(笑)」
――8月にUKプロジェクトのイヴェントである〈UKFC on the Road 2013〉が新木場STUDIO COASTでありましたよね。きのこ帝国とpaioniaは別々の日でしたが、それぞれ感想を聞かせてください。
髙橋「あれだけの規模でライヴをやれることがいままでなかったので、そういう意味ですごく楽しかったです。去年はステージが外で、今年もメインステージの脇ではあったんですけど、すごい光景でしたね。みんな微動だにしてなかったですけど(笑)、それが逆に燃えました。きのこ帝国のときはお客さんノッてるの?」
佐藤「曲を知ってる人が前のほうにちらほらいて、後ろのほうは初めて観る人が〈どれどれ〉みたいな感じだったと思うけど、うちらも微動だにしないお客さんには慣れてるから、あんまり気にはしてなかったかな」
――周りは先輩ばっかりで、そういうなかでやるのってどんな気分でしたか?
髙橋「先輩方とはあんまりお話できてないんで、良くも悪くも気負いみたいなものはあまりなく、そこは普段通り楽しかった感じですね」
――なかでも仲がいい先輩はいますか?
髙橋「……きのこ帝国(笑)」
佐藤「先輩じゃないじゃん(笑)」
――人見知り?
髙橋「人見知りなのかな……社会に出たら、ちゃんとご挨拶とか大事じゃないですか? そういうところでちょっと怠けてるので、これじゃいけないなっていうことを感じた〈UKFC〉でした(笑)」
佐藤(きのこ帝国)
――きのこ帝国は先輩との絡みが多そうですよね。
佐藤「きのこは結構可愛がってくれる人がいっぱいいて、木下(理樹)さんとか、the telephonesの皆さんとか、同じ日に出たdipも知り合いを通じて知っててくれたり、MO’SOME TONEBENDERも一度イヴェントに呼んでもらったことがあります。なので、去年は〈先輩ばっかりだ〉って緊張してたんですけど、今年はワイワイやれました」
――paioniaも見習わないとね(笑)。
佐藤「あとひとつ、今回の〈UKFC〉で感じたことが、3日間で自分たちの出た日がいちばん〈UKFC〉の深い部分だったというか、すごく意味のある一日だったと思うんですね。他の日もそれぞれ意味があったと思うけど、五十嵐(隆)さんが弾き語りで出演されたりとか、私たちとしては〈この日に投げ込まれた意味を感じてやりたい〉って思って、いろいろ考えさせられる日になりました」
――髙橋君はもともとSyrup16gのファンだったんですよね?
髙橋「はい。〈同じ日じゃねえんだ!〉とは思いましたけど(笑)。結局五十嵐さんのステージは観れてなくて、まあ今回会えなくて良かったかなっていうのもちょっとあります。憧れの人なので、自分たちがメインでできるようになってから会いたいですね」
――でも、やっぱりSyrup16gと同じレーベルの人に認められて、ある種同じ場所にいられるっていうのは、髙橋君にとっては大きな喜びではありますよね?
髙橋「UKプロジェクトにお世話になりはじめた頃はすごくその気持ちが強かったんですけど、だんだん僕らももっとがんばんなきゃいけないというか、〈ここにいさせてもらってる〉っていう感じではなく、先輩方とちゃんと肩を並べられるようになんなきゃなって。今年はそれをすごく感じましたね」
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