朝比奈秋、デビュー作「私の盲端」が文庫化。発売前重版も決定
「サンショウウオの四十九日」で第171回「芥川賞」を受賞して大注目の新鋭 朝比奈秋の「私の盲端」が文庫化。朝比奈にとっては初の文庫化、そして反響も多く、発売前重版も決定した。
3年前の2021年「第7回林芙美子文学賞」を受賞しデビューして以来、作品を発表するごとに「三島由紀夫賞」、「泉鏡花文学賞」、「野間文芸新人賞」、そして「芥川龍之介賞」と新人がとり得る賞だけでなく、数々の賞を受賞し、そのたびに注目が集まっている。解説には、「林芙美子文学賞」の選考委員でもある井上荒野が寄稿。現役の医師として、病を抱えた身体とその意識の変容を圧倒的なリアリティで描き続ける、新人とは思えない実力とエッセンスが詰まった朝比奈秋の原点を、ぜひチェックしてほしい。
■朝比奈秋 コメント
生きている間、あらゆる人間が逃れられない「排泄(はいせつ)」。多くの人はトイレに行って大便を出すという行為について、深く考えることはないかもしれない。
どうして、肛門は直接見ることができない場所にあるのか。どうして、口と肛門はひとつなぎなのか。便とはいったい何なのか。便は汚いものなのか。
食べ物を消化・吸収して出す臓器・胃腸。その専門医である私でさえ、大いに無知だ。排泄とは何か。それをもっともよく知る者たちへ耳を傾けるしかない。
人工肛門になった女子大生の涼子。へその横に空いた穴。もう一人のオストメイトの京平。バイト先で泥と汗にまみれて料理を作るコックとフロアスタッフたち。オストメイトのために作られたバリアフリートイレの洗浄台……。
最大限の敬意を持って、私は涼子らの声に耳を澄ませたい。
▼書籍情報
朝比奈秋
「私の盲端」
カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース
掲載: 2024年08月09日 15:25