好評頂いておりますPolarisのリレー連載〈三ツ星日記〉。第6回の今回はベースの柏原譲がお送りします。眠る前に脳内に鳴り出す音楽の不思議について考えてみると……そこには深くも豊かな迷宮が。音楽の魔力はどこまでもあなたを眠らせません。そんな夜のお供にこんな三ツ星盤はいかが?

みなさんこんにちは、Polaris柏原です。
今回はサブタイトルに〈脳ない MUSIC, NO LIFE.〉って勝手につけました。ふと思ったんですけど、みなさんはこれからやっと眠ろうと思った時、ふとんに入った途端に、ある音楽が頭のなかで鳴り出してこまったことはありませんか。無視してねむろうとしてもずーっと鳴っていて、しかたなく起き出してCD棚に手を伸ばし、結局一枚聞いてしまったりすること、僕はよくあります。この季節、まだ夜中は寒いんだよねー。
さらにそのCDを持ってなかったりすると悲惨です。あー気になる、眠れないの繰り返しで夜明けのコーヒーをつい飲んでしまったりすることも。そんなことにならないようにタワレコが24時間営業だったらいいですね。そうだ、みなさん署名を集めましょうよ。タワレコ24時間営業、賛成! 100万人分集まったらタワレコさん、よろしくです。
★★★1.たま『さよなら人類』
さてやっと今日一日が終わって布団に横たわりました。あーきょうもつかれた、ふぅー、いまおれは息をはいたなあー。息には二酸化炭素が入ってるんだよなー、ん、にさんかたんそ? 〈にさんかたんそをはきだしてぇー、あーのこが……〉。もうダメです、ループしてます。〈きょーうじんるいがーはじめてえー〉。
★★★2.CAETANO VELOSO『Orfeu』
2枚目はみなさんの蘊蓄(うんちく)になるやつを。前回に引き続きカエターノ・ヴェローゾの今度はOrfeu、同名タイトル映画のサントラ盤です。この中の7曲目、“A Felicidade”、こないだ夜中に聞きたくなりました。世知辛いニュースばかりのこの時代、あの天使のようなこどもの歌声で癒されたくなって、起き出して聞いてみると、〈あれ、意外とこいつ、いがらっぽいな……タバコ呑みだな〉。これで安心して寝られました。世の中キレイなだけじゃないんですねーと。
★★★3.JOAO GILBERTO『Musica!』
すみません、今度はほんとにみなさんの教養になりそうなのを。ボサノヴァの初録音曲として知られるジョアン・ジルベルトの“Chega de Saudade”ですが、僕の中でよく奏でられるのは80年のこのライブ盤での蒼きBebelとのデュオです。まだ13~4歳のベベウが歌い出し、父親が伴奏する様は微笑ましい親子のようですがこれが2番でジョアンが歌い出すと途端に彼はボッサの鬼と化します。とみせかけてサビではベベウにコーラスをつけたりしてまたほんわかしたムードに、最後はベベウのはにかんだ笑いで締めています。いやーいい! このヴァージョンはいいですよ。これ、歌詞もサウダージ感にあふれちゃってるんですが、それに連動してコードもマイナーからメジャーに変わり、またマイナーに落ちるという、劇的な展開なんですよ。歌詞に連動してるところがミソなのでもし日本語訳をみる機会があったらそれをしっかり頭にたたき込んでから聴いてみてください。作り手の立場の僕らが聴いてもこの作品、奇跡です。