ある時は超巨大資本企業のシステム設計に携わるスーパー・プログラマー、ある時はTV Bros誌連載でもおなじみの理系男子コラムニスト、そしてある時はヒップホップ/R&Bのプロモクリップ映像の世界(肉体)にトコトン魅せられる一男子……一瀬大志がレペゼンする筋肉映像コラム。その名も〈ブラックミュージック★肉体白書〉。第四回はネリーの野球筋&プリンスの桃尻に迫る!
オリンピック、地震、台風と、まるでシミュレーションゲーム並みに次から次へとイベントが発生しているこの残暑。真夏日最多記録もそろそろ終焉を迎えようというのに、いまだ無駄にヒートアップし続けているものといえば、そう、〈球界再編問題〉だ。「ファンのため」という言葉を楯に、いろんな人がいろんなことを言ったり、泣いたり、ストしたり、回避したり、買収に意欲を見せたり、新規参入を申請したり、Tシャツで『朝まで生テレビ』に出てみたり、それで怒られたりしているわけなんだけど、これって本当は誰のためなんだろう? CCCD問題など〈娯楽業界〉と〈ファン〉との関係について、いろいろと考えさせられることが多い今日このごろ。野球ファンでなくとも、その行方は気になるところだ。
■ NELLY

カージナルスのお膝元、セントルイス出身の元野球少年ネリー。元体育会系だけにスーツもサマになる?
そんな中、アルバム同時2枚発売というラッパー初の試みで見事にファンの期待に応えてくれたのが、元野球少年、ネリー。高校生のとき、本気でプロの選手になることも考えていたというだけあって大胸筋にくらべて肩から腕(上腕二頭筋&三頭筋)が発達しているネリーの体は、あまり無理して筋肉をつけたような形跡もなく、その印象はあくまでなめらかなタッチ。女子ウケ良さそうな按配だ。
比較的スッキリとした顔だちに加え、スポーティーで爽やかなカラーリングを多用する彼は、キュートな仕種に歌いぎみのラップと、かなり健康的。ニューアルバムのジャケットも昼盤の『Sweat』はともかく、夜盤の『Suit』についても、なぜかお母さんも安心して娘をお見送りできる感じが漂っており、その辺にスポーツマンっぽさがにじみ出ていて好印象だ。
そんなわけで、この夏、渋谷を歩いていると、必ずひとりはドゥーラグ巻いて、チェーンを下げた 〈ネリー風〉 男子を目撃したわけだが、やはり、あれは野球部の男子だったりするんだろうか? 筆者が渋谷で目撃したネリー男子はたいてい女子連れだったんだけど、確かにあれは、いま最もモテる B-BOY スタイルかもしれない。もし自分がいま中高生だったとしたら、間違いなく彼らと同じく、ネリーの影響下に置かれていただろう。とりあえず、ヤング男子諸君は、昼は『Sweat』で筋トレして、夜は『Suit』でキメるとかすると、間違いない青春を送れるハズだ。
■ PRINCE

野性味あふれる80年代のプリンス
次に紹介するのは、そんな筆者が中高生の頃、思春期のリスニングタイムの8割以上を捧げるほどにハマってしまい、間違った青春時代を送ってしまうキッカケとなったアーティスト、プリンスだ。
中学のときの美術の時間、好きなレコード・ジャケットをモチーフに絵を書くという授業で、ここぞとばかりに『Lovesexy』を持参し、周りに嫌がられたのは、もはや遠い想い出。いつの間にか、コアなファン以外との通信が途切れがちになっていた彼だが、デビューから26年目の今年。ついに世間に対して復活をアピールする時が訪れた。
まずは2月。グラミー受賞式におけるビヨンセとの競演で復活ののろしを上げたかと思えば、3月にはロックの殿堂入りを果たし、5月にリリースしたアルバム『Musicology』でチャート上位にランクイン。7月、SPIN誌で〈偉大なロック・フロントマン〉の投票でJBやジミヘン、エルビスをおさえ1位に輝く一方、9月にはアメリカン・ミュージック・アウォードで2部門にノミネートされるなど、「伝説の現役アーティスト」として唯一無二の存在であることを広く知らしめることとなった。
確かに、あそこまで歌って踊れて楽器が弾けて曲が書けるアーティストは他にはいないだろう。そんな彼の肉体の魅力は、その才能を詰めこむだけ詰めこむことに成功したコンパクト・ボディにある。もし50セントの鋼のような肉体を、元来、軍用車として設計された巨大SUV・ハマーに例えるとするならば、プリンスの肉体は、さしずめステージを縦横無尽に駆け巡り、あらゆる楽器を演奏するためにデザインされた高性能なスポーツカー、リトル "パープル" コルベットといったところか。
さらに、プリンスの肉体を語る上で忘れてはならないのが、あのキュート過ぎるお尻だ。ヒールを履くことでプリッと上がったあのお尻に、ひそかにカブリつきたいと思っている女子も少なくはないだろう。彼の胸にコケのように生えた胸毛がプリンスの男性的(猥雑)な側面を表すものとするならば、その対極に位置するキュートなお尻は、プリンスの女性的(セクシー)な側面を表したものと言えるかもしれない。
そんなこんなで、80年代、肌の露出度の高さでも他を圧倒していたプリンスであるが、上半身を露出させ、下半身もそのバネを効かせまくっていた時期といえばアルバム『Parade』の頃ではなかろうか。当時の彼のベストな肉体を堪能できる映像としては、同アルバムからのシングル“Kiss”のプロモクリップが、DVD『ザ・ヒッツ・コレクション』に収められているので、未見の方はぜひチェックして欲しい。他にもこのDVDには〈ロングコートにビキニパンツ〉という初期変態スタイルその他が収められているので、最近のシックなプリンスしか知らない若いリスナーは、この作品を通して「若いうちにしかできない何かがある」というプライスレスな事実を確認することができるだろう。さらに今年は本気で業界的に "プリンス復活イヤー" なのか、プリンス映画DVD4枚組ボックスセット『プリンス・フィルムズ・コンプリートBOX』の発売が10月末に予定されていたりするので、往年のマニア諸君も、今年の秋の夜長は、若いころにビデオで死ぬほど観たあんな場面やこんな場面をDVDの高画質やら頭出しで存分に堪能して欲しい。
……しっかし! 肝心の「Sign 'O' The Times」(プリンス史上最強最高の映像作品)が入ってないじゃん!!
とお嘆きのファンの方! そんなファンを見越したかのように、9月から「Sign 'O' The Times」のブラジル版DVDが国内のタワレコなどで入手可能となっているので、とりあえずはこのDVDで〈最も偉大なフロントマン〉のステージを再確認することにしよう。パッケージの表記において、若干オリジナルと異なるところがあるが、そこはまあサンバの国ということで御愛嬌だ。やっぱ「Sign 'O' The Times」は最高だぜ!!