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第3回 ─ カリブの熱風、TK

関連作からサンプリングまで……いまも生きるTKサウンド!

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2005/03/24   19:00
更新
2005/03/24   19:14
ソース
『bounce』 262号(2005/2/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

 在マイアミのS・カーヴがジョス・ストーンのデビューにあたって用意したのは、ベティ・ライトの招集を受けたTK周辺の名演奏家たち(リトル・ビーヴァー、ティミー・トーマス、ラティモア)による久々のセッションだった。で、同じようにTKのバックバンドが手腕を発揮した外部作品に、チョーズン・フューの76年作『In Miami』がある。マイアミ録音の同作を支えるのはKC・アンド・ザ・サンシャイン・バンド。なお、そこに参加したキング・スポーティはジャマイカからマイアミへの移住組で、後にベティ・ライトと結婚した。現在も密接な両地の関係は昔から深かったのだ。

 そんなふうに内外で最高のグルーヴを紡ぎ出してきたTKだけあって、サンプリングを通じてのリサイクル例も膨大。そのなかでネタ使用率がもっとも高い曲はベティ・ライト“Clean Up Woman”だろう。小沢健二“ラヴリー”でまるまる引用されて日本でも有名になった同曲は、同時期にメアリーJ・ブライジ“Real Love(Remix)”の元ネタにもなっていた。これ以外にも上記ディスクガイドにて触れられている曲はおおよそが定番ネタだと思ってもらっていい。2パックの死後ヒット曲“Do For Love”のネタであるボビー・コールドウェル“What You Won't Do For Love”もTK産になる。

 一方でTKは多くのポップ・ヒットを生んだわけで、単純なカヴァー例も枚挙に暇がないほど。シャーデーによるティミー・トーマス“Why Can't We Live Together”やモニカ&アッシャーによるラティモア“Let's Straighten It Out”などが有名どころで、他にもWINKがコールドウェルの“Special To Me”を歌っているし、レーベル最強のワールドワイド・ヒットとなったKC~の“That's The Way(I Like It)”に至ってはビズ・マーキー&スピン・ドクターズやら田中星児やら良い意味でイロモノ(失礼)なメンツが楽しくカヴァー。そういえば〈ガッツだぜ!〉と歌う某曲も……そっくりね?
▼文中で登場した楽曲の収録アルバム。ジャケは登場順に


田中星児の“ザッツ・ザ・ウェイ”を収めたコンピ『R&Bディスコ歌謡コレクション ビクター編』(Pヴァイン