ピンプや麻薬密売人が主人公のアクションものをはじめ、恋愛/青春ドラマ、コメディー、ホラーなど70年代ブラック・ムーヴィーの種類はさまざまだが、そこには程度の差こそあれ、〈対・白人社会〉〈対・権力〉的な主張が見え隠れしている。で、それを現代に描いた人物といえば、まずは89年に「ドゥ・ザ・ライト・シング」を公開したスパイク・リーを思い出す。この頃からヒップホップが70年代におけるソウルやファンクと同じように黒人社会で影響力を持ち始め、それに連動してブラック・ムーヴィーの黄金時代が再到来。2000年にサミュエルL・ジャクソン主演作「シャフト」で「黒いジャガー」がリメイクされたのはその象徴的な出来事と言えるが、口火を切ったのはアイス・Tが出演した91年の「ニュー・ジャック・シティ」だろう。何しろこれは、あのメルヴィン・ヴァン・ピーブルズの息子マリオの監督で、映画も親父の遺伝子を受け継いでいた(この親子はその後95年に「パンサー」で手を組む)。同じ頃にはアイス・キューブ出演の「ボーイズン・ザ・フッド」も話題になったが、以降キューブが出演した「フライデー」「バーバーショップ」なども含めて、大都市の黒人ゲットーを舞台に路地裏ムードを漂わせながらアフロセントリックな主張を交えて描くやり方は70年代のそれとそっくりだ。また、パム・グリアやジム・ブラウンらが出演した「ホットシティ」のように当時の有名俳優を使って〈らしさ〉を求めたものもあり、「ジャッキー・ブラウン」やスヌープ・ドッグ主演のホラー「ボーンズ」ではパムの存在自体が70'sムードを高めていた。スヌープ出演作では「ザ・ウォッシュ」が「カー★ウォッシュ」のオマージュ的なノリだったのも興味深い。さらに70年代気分を奇抜なファッションも含めてユーモラスに描いたコメディー「アンダーカバー・ブラザー」まで、そのギラギラとした70年代感覚は至るところで再生され続けている。
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