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第67回 ─ 我が道を突き進むDJ BAKUの記録、それがDVD「KAIKOO/邂逅」だ!!

連載
360°
公開
2005/07/07   17:00
更新
2005/07/07   17:26
ソース
『bounce』 266号(2005/6/25)
テキスト
文/一ノ木 裕之

DJ BAKUにとって、邂逅とは? 仲間とは? ヒップホップとは?

 14歳で観たヒップホップ映画「ジュース」に衝撃を受けて、16歳でDJをスタート。1年後には現在妄走族やソロで活動する般若とフィメールMCのRUMIと共にグループ〈般若〉を結成するも、わずか1年半で解散……DJ BAKUの最初期のキャリアは、音楽を志す誰もが望むような順調なものではなかった。しかし、そうした迷いの時期こそがBAKUの目を今に至る活動の本質へと向けさせた。

「(DJ)バトルにも出場できなかったし、メインストリームのハコでやれるようなDJでもなかった」(BAKU)。

 そうした彼の行き詰まりに光を与えたのは、GOTH-TRADら音楽への思いを同じくする友や音楽との出会いだった。彼がその時期に体験したレコードにまつわる逸話は、まるでストリートが生んだファンタジーであり、彼のその後のキャリアを暗示するかのようでもある。

「どういう方向に進もうか迷ってた時に、ゴミ捨て場でレコードを拾って。そこにあったのが『KAIKOO WITH SCRATCH』にも入ってるウォーレン・スミス&マサミ・ナガサワの“Kaikoo”と映画〈タクシー・ドライバー〉のサントラだった。で、〈タクシー・ドライバー〉に入ってる(ロバート・)デ・ニーロのセリフを訳したら、〈自分はタクシーの運転手で日常いろんな人と会っていかなきゃいけない〉みたいなことを言ってて、あっ!って。それから、わかる人にわかってもらえればいいと思ってミックステープを作った」(BAKU)。

 そしてそのミックステープ『KAIKOO WITH SCRATCH』を99年にリリース。ナズ、オートメイターからダフト・パンク、ビョークまでをミックスするセンスは、〈KAIKOO〉というキーワードと共にDJ BAKUがターンテーブルで表現する世界そのものとなった。

「ヒップホップだけやっててもしょうがないし、正しくないなと自分の中で思って、違うことをやりたかった。必然的にそうなったんですよね。今はどこの国でいつ聴いてもあまり限定されないものを作ってると思う」(BAKU)。

 レコードとの思いがけぬ出会いを経てみずからの世界に出会ったBAKUのその後の活動も、まさしく〈邂逅〉の連続だ。彼がその影響を認めるGOTH-TRAD、DJ KENTARO、MSC、TATSUKI、dj klock……彼と、彼を囲む仲間たちの姿を、99年から昨年まで捉え続けたドキュメンタリーDVDにもまた「KAIKOO/邂逅」のタイトルが付けられている。

「これは、音楽とそれにまつわる人のドキュメンタリー。あたりまえのように音楽が生活の中にあって、あたりまえのように音楽に対してまっすぐに向き合っている人たちが日本にいる。お金の匂いがしない音楽は、そういう人たちから作られるんだなってことが再確認できたし、自分が現場で見て衝撃を受けたことを映像で伝えるのが役目だった」(坂井田裕紀、監督)。

 本作はヒップホップのDJとしてスタートした彼なりの、ヒップホップに対する落とし前なのかもしれない。DVDが包括する彼のコネクションは音楽にとどまらぬカルチャーの記録としても現われているが、その根っこにあるのはやはりヒップホップだとBAKUは言う。

「俺が今やってることはヒップホップって言われないと思うけど、ヒップホップがカルチャーだってことをずっと気にしてやってきたから曲げたくなかった。だからグラフィティを入れたかったし、ブレイクダンスのかわりにエクストリームなスポーツとしてBMXも入れたし」(BAKU)。

 DVD「KAIKOO/邂逅」はDJ BAKUのキャリアを繋ぐ出会いの記録であり、彼が帰るべき場所の記録なのだ。
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