THE DRAMATICS 『The Dramatic Jackpot』 ABC/MCA(1975)
ベリー・ゴーディJrの旧友である名プロデューサー、ドン・デイヴィスの後押しで成功を掴んだドラマティックス。本作はスタックスでの活動を経てABCからリリースされたもので、制作にはドンの友人であるトニー・へスターがあたっている。アール・ヴァン・ダイクら元ファンク・ブラザーズの面々が参加し、デトロイト・ムードもたっぷり。憧れのテンプテーションズに肉薄するコーラスも聴きモノだ。(林)
ENCHANTMENT 『Golden Classics』 Collectables
エマニュエル・ジョンソンのファルセット・リードを売りとするデトロイト出身のヴォーカル・グループ。これは後にジェシー・パウエルらがカヴァーした甘茶名曲“Gloria”“It's You That I Need”を含むロードショウ時代(76~77年)の編集盤で、ここにもファンク・ブラザーズの一味が参加している。プロデュースを手掛けたマイケル・ストークスは80年代後半以降のブレーンとしても活躍。(林)
FOUR TOPS 『Essential Collection』 Hip-O
リードを務めたリーヴァイ・スタッブスが表の顔なら、ソングライターとしても活躍したレナルド“オービー”ベンソンは陰の実力者といったところか。モータウン時代は当然として、ダンヒル/ABC移籍以降の彼らも西海岸ポップなサウンドのなかにノーザン・ビートを持ち込み、重厚なコーラスを伴って聴かせた。どんな時も心は常にデトロイトにあった4人のベスト・パフォーマンスがここに。(林)
JOHNNY BRISTOL 『Feeling The Magic』 MGM/ユニバーサル(1975)
ジョニー&ジャッキーとしての活動以上にソングライターとしてモータウンに貢献してきたジョニー・ブリストル。このソロ2作目は、昂揚感に満ちた“Leave My World”での幕開けから泣かせ、メロウな“Love Takes Tears”、男臭いファンクの“Lusty Lady”など、情熱的なノーザン・ムードを70年代マナーに置換した名曲だらけ。ポール・ライザーの壮麗なストリングスが果たした役割も重要。(出嶌)
LAMONT DOZIER 『Bittersweet』 Warner Bros./Castle(1979)
言うまでもなくホランド=ドジャー=ホランドの一員。これはワーナー時代の最終アルバムで、普段はセルフ・プロデュース作がメインとなるラモンが旧知のフランク・ウィルソン(ノーマン・ホイットフィールドの弟子でもある)の制作で吹き込んでいる。ディスコ時代の産物であるとはいえ、その下地にあるのは骨太なノーザン・グルーヴ。リネー&アンジェラの提供曲が特に強力だ。(林)
LEON WARE 『Leon Ware』 UA/東芝EMI(1972)
60年代初頭からモータウンの契約ライターとして活動していたリオン・ウェア。76年のソロ2作目ではふたたびモータウンとの縁を取り戻すが、このデビュー作は70年代初頭に契約を結んだUAからリリースされている。LAスワンプ・ロック人脈と交流を図った作品ながら、T・ボーイ・ロスとの共作曲などは後にマーヴィン・ゲイが虜になった〈あの〉メロディーを予感させる。デトロイトの血が静かに騒いだ好盤。(林)
RONNIE McNEIR 『The Best Of Ronnie McNeir』 Expansion
70年代初頭にキム・ウェストンの音楽ディレクターを務め、キムの旦那であるミッキー・スティーヴンソンの制作でソロ作を発表するなどモータウンとも縁深かったシンガー/鍵盤奏者。その彼が80~90年代に吹き込んだモダンなソウル曲を集めたのがこの編集盤なのだが、その多くはオービーとの共作だった(後にフォー・トップスのツアーにも同行)。ノーザン・ソウルの現代風解釈はなかなかのもの。(林)
WILLIE HUTCH 『Try It You'll Like It : The Best Of Willie Hutch』 Expansion
最初はソングライターとしてLA時代のモータウンに関与していたウィリー・ハッチ。このベストには、サム・クックの薫りを纏った歌とノーザン・ビートが好相性のRCA時代、サウンド・クリエイターとして開花したモータウン時代、離脱後の“Easy Does It”などを収録。瑞々しい歌とグルーヴ・スタイリストとしての手練手管が一望できる。いつまでも〈『Foxy Brown』の~〉と評して済む人じゃない。(出嶌)