THE JONESES 『The Joneses』 Epic/ソニー(1977)
NYを拠点にスウィート~モダンなナンバーを歌ってきたグループがメンバー・チェンジを経てリリースしたアルバム。勢いのあるテナーとシブいバリトンを中心としたヴォーカル・ワークは、ボビー・イーライのプロデュースによる躍動感溢れるMFSBサウンドと抜群の相性を見せ、フィリー・ダンサーからスウィート曲まで粒揃い。数あるフィリー詣で盤のなかでも、とりわけ充実した内容を誇る名作だ。
THE MANHATTANS 『The Manhattans』 Columbia/ソニー(1976)
ジェラルド・アルストンを新リードに迎え、コロムビア移籍と同時にフィリー詣でをして成功を掴んだ名門グループ。ニュージャージーを拠点としながら70年代を通じてMFSB一派のボビー・マーティンと組んだ彼らの代表作がこれで、あの名バラード“Kiss And Say Goodbye”も含む。バート・デコトー制作のNY録音曲を含むもフィリー色全開。それでもサウンドに翻弄されていないのは流石だ。
TAVARES 『Madam Butterfly』 Capitol/Collectables(1979)
ディスコ・ヒットでもお馴染みの兄弟グループが、MFSB一派から独立したボビー・マーティンやロン・カーシーの助力を得て録音したアルバム。グレイ&ハンクスやサム・ディーズ作の曲を歌い、演奏陣もシグマの常連ではないので〈フィリー詣で〉とは言えないが、ボビーやロンのプロデュース/アレンジは紛うかたなきフィリー・マナー。メンバーたちもフィリーの音で歌ってみたかったのだろう。
THE TEMPREES 『Three』 We Produce/Stax(1974)
〈スタックス版デルフォニックス〉とも呼ばれたスウィートな3人組、ゆえにフィリー詣では必然だったのかも。リズム隊にMFSBの精鋭が参加したグループの3作目。とはいえ、プロデュースを手掛けたレスター・スネルほか、管弦を含む演奏陣はメンフィスのミュージシャンで、録音もフィリー(シグマではない)とメンフィスの両方で行われている。フィリー勢の力を借りる格好でフィリーを模した好作だ。
THE WHISPERS 『Bingo : The Janus Recordings 1972-1974』 Sanctuary
後にソーラーの看板グループとなるLA出身の彼らもフィリー詣でをしていた。ジェイナス時代の楽曲から成る本アンソロジーに丸ごと収録された『Bingo』(74年)がそれで、ロニー・ベイカー+ノーマン・ハリス+アール・ヤングの制作曲を中心に、極上のフィリー・ダンサーからバラードまでを聴かせる。あまりの相性の良さにギャンブル&ハフが契約話を持ちかけたのも有名な話。