COMMODORES 『Machine Gun』 Motown(1974)
モー・ウェストでのシングルを経て親レーベルのモータウンから発表したファースト・アルバム。表題曲や次作にも収録される“The Bump”といった故マイラン・ウィリアムズ作によるグリッティーなファンクを含み、リッチーとウォルター・オレンジの二枚リードで畳み掛ける。グラハム・セントラル・ステーションばりの“I Feel Sanctified”など、この時点ではほぼファンク一筋な彼らだった。
(林)
COMMODORES 『Commodores』 Motown(1976)
グループ内のバランスが変化していった時期ならではの産物と言うべきか、さまざまな方向性が試された末の名曲集。ちょうどファーギーがソロ作でネタ使いしているアーバンな“Zoom”をはじめ、バンドのファンク・サイドを代表するパーティー・チューン“Brick House”など、佳曲が寿司詰め状態。なかでもキャムロン“Hey Ma”にリサイクルされたリッチー作の“Easy”は、独特の温もりに痺れる名曲だ。
(出嶌)
COMMODORES 『In The Pocket』 Motown(1981)
楽曲によって音楽性がかなり拡散しているため、アルバムとしてのまとまりは求め得ないものの、80年代らしいタイトさで突進したヒット曲“Lady(You Bring Me Up)”などアップ・チューンでの足並みの揃い方は流石。同時期に一世を風靡していたリック・ジェイムスあたりの影響も窺えるソリッドなファンクに乗ってみせつつ、まろやかな自作スロウをノビノビ歌うライオネルの適応力も素晴らしい。
(出嶌)
LIONEL RICHIE 『Lionel Richie』 Motown(1982)
コモドアーズから脱退し、ダイアナ・ロスとのデュエット“Endless Love”を挿んで華麗にソロ転向を遂げたリッチーのファースト・ソロ・アルバム。コモドアーズのバラード・サイドをそのままソロに移行させたような“My Love”“Truly”にリッチーらしさを感じる作品で、同じく大ヒットしたミディアム“You Are”は次作で爆発するアーバンなスタイルも予感させる。いい曲にいい声が乗れば当然傑作。
(林)
LIONEL RICHIE 『Can't Slow Down』 Motown(1983)
アトラクション的なマイケル・ジャクソンや、パワフルに煽動するブルース・スプリングスティーン、革新的なプリンスと並び称された〈80年代四天王〉の作品がこんなに〈普通の歌〉だらけなのに驚かされるが……淡々と言葉を重ねていく“Hello”、アフリカ音楽にほんの少しアプローチしてみせた“All Night Long(All Night)”などの異常ヒットがいまも錆びないのは、その普通さゆえの普遍性が持つ魔力だ。
(出嶌)
COMMODORES 『Nightshift』 Motown(1985)
リッチーが脱退した新生コモドアーズの2作目。元ヒートウェイヴのJD・ニコラスが新たに加入し、彼のリードで聴かせた表題曲がマーヴィン・ゲイとジャッキー・ウィルソンに捧げた歌として話題になった。プロデュースはデニス・ランバート。ボビー・コールドウェルらの作となる“Janet”など、AOR~ブラコンの薫りがする甘くムーディーなポップ・ムードは80年代モータウンの典型か。
(林)
BLOODSTONE 『Don't Stop』 Motown/ユニバーサル(1978)
本連載の初回〈モータウン〉篇でも掲載済みだが……コモドアーズの成功で同レーベルに増えはじめたヴォーカル&インスト・グループの一例として、カンザスシティ出身の彼らを再度紹介しておこう。清々しくもダイナミックなファンク、ミディアム調から甘美なスロウまで、コモドアーズの好敵手と言っていいタイプの曲が並ぶ。デニス・ランバートらが書いた曲を演っているあたりも共通項か。
(林)
7TH WONDER 『Words Don't Say Enough』 Parachute/ヴィヴィド(1978)
コモドアーズと同じタスキーギ出身の、女性を含む7人組ヴォーカル&インスト・グループ。デビューは73年だが、アルバムはこれが初。ここではマッスル・ショールズなどの腕利きを起用し、ほぼ歌に徹しているが、随所でファンクな体質が顔を出す。なお、サンプリングの定番ネタ“Daisy Lady”を含む79年の次作にはコモドアーズのロナルド・ラプレッドがプロデュースで参加。
(林)