91年には〈ロックの殿堂入り〉を果たすものの、〈暴力夫〉というイメージもあってか、必ずしも相応のリスペクトを得てはいなかったアイク。そんな彼も2000年代には完全復活を果たしていた。2002年の『Here And Now』がグラミー賞の〈最優秀トラディショナル・ブルース部門〉にノミネートされて、久々に高い評価を得たのだ。ゴリラズの曲にピアノでフィーチャーされるという華やかなトピックを経て、2006年の『Risin' With The Blues』では円熟した歌声とソウルフルな演奏を悠々と披露し、今度は見事にオスカーを獲得! 結果的にはそれが遺作となったものの、鬼才は最後まで燻し銀の輝きを見せつけてくれたのである。