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第33回 ─ リイシューという名の欲望

海よりフェスよりリイシュー三昧!!

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2008/08/14   00:00
更新
2008/08/14   18:22
ソース
『bounce』 301号(2008/7/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

  今月は本当に……まずはダイアナ・ロスの70年作に未発表音源を特盛りにした『Everything Is Everything : Expanded Edition』(Motown/Hip-O Select)! 着々とデラックス復刻の進むダイアナですが、そもそも通常カタログのリイシューすら滞っていただけに嬉しい限り。今作では名曲“I'm Still Waiting”やビートルズのナンバーなどを華のある歌声で伸びやかに聴かせています。

  それと並べて楽しみたいのが、ステイシー・ラティソウの85年作『I'm Not The Same Girl』(Atlantic/Wounded Bird)。ロビー・ブキャナンによる青春シンセ・ファンク路線がある一方で、先述のダイアナ盤に参加していたジーン・ペイジやマイケル・マッサーが天才少女に往年の女王を投影したかのような好作なんですわ。

  で、OV・ライトの遺作となった79年作『We're Still Together』(Hi/ビクター)も紙ジャケで久々に復刻。その時期ならではのサザン洗練ソウルを堪能することができる佳作で、前年の名品『Bottom Line』もどうぞ。

  で、そのOV同様にハイで名を馳せたオーティス・クレイの『The Only Way Is Up』(ビクター)もスルー禁止。ハイを離れた彼が地元のシカゴで録音し、75~80年に発表したシングル群が82年に日本主導でアルバム化されたものなのですが、瑞々しいモダン・ソウルと融合する南部仕込みの歌い口がもう絶品なのですよ。

  さらに南部仕込みということでは、JBプロデュースによるハンク・バラードの69年作『You Can't Keep A Good Man Down』(King/Soul Brother)もようやく世界初CD化です。6曲のボーナスも含む熱血ファンク大会!

  そして、〈OHIO FUNK BOMB〉と題されたオハイオ産ファンク良品の紙ジャケ・リイシューも最高です。なかでも目玉となるのは、デイトンの85年作『This Time』(Capitol/ヴィヴィド)とカラー・ブラインドの84年作『Crazy』の世界初CD化でしょうね。それと同時にドドッと出たデイトンやサンの定番タイトルについてはまた機会を設けて紹介するとします。

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