III 現在のシーンに見るノーウェイヴの影響
出口がないから終わりもない、無数の曲がり角と壁でできた迷路を彷徨うように。ひょっとしてキミたちの人生だろうか!? ヤー・ヤー・ヤーズ、アニマル・コレクティヴら直系の新世代が台頭してくる背景には、そうした人間の屈折に共鳴せざるを得ない負の本能が潜在するからではないか。そしてある夜、突然イーノはこう呟くかもしれない、「まだ号砲を鳴らしてない」。老体に鞭打って『No New York』のやり残しに彼が着手しはじめたところで、周囲は黙って見届けるしかないんだ。2005年に初来日したジェイムズ・チャンス、久々の新作を放ったフリクションやLIZARDの動向に導かれる記号は、だから〈再〉ではなく〈続〉なのである。そういえば、ジャン・ジャック・バーネルを迎えたLIZARDのデビュー作『LIZARD』(79年)とデイヴ・フリッドマンの息がかかったZAZEN BOYSの『ZAZEN BOYS 4』に、シンパシーを寄せ合う豊かな分離感が読み取れるね。また、ストロークスのジュリアン・カサブランカスと手を結んだサントゴールド改めサンティゴールドの、性の越境者としての姿に、NW期のジェイムズ・ブラッド・ウルマーを重ね合わせてしまうのは先生だけかい? また、そのサンティゴールドをフックアップしたディプロの雑食性にも、トーキング・ヘッズ『Remain In Light』に底通する〈喧噪〉が。それをひとつのアートフォームにしたのが『Nao Wave Revisited』や『NO SHIBUYA: Electro, Dub & Breaks』といった編集盤だろう。先生監修の後者は、東京ロッカーズ以降の地下音源を現代解釈のうえで再提案した和製NW。これと不可分な関係を持つだろう、にせんねんもんだいが、ブルックリンの異能ギャング・ギャング・ダンスと対バンしたのも、きっと何かを暗示してるんだ。