20代の代表として言わせてもらいますと、自分にとってブッチャーズの作品は、近代日本文学の小説のようなものでした。すげー音を出してるとか、ライヴがどんだけいいかなんてあんまりわからなかった10代の頃、自分のなかでの吉村秀樹は〈詩人〉だったのです。ただそっと耳を傾けて、歌われる景色や季節の変わり目に重なった自分の過去に思いを巡らせていたものです。そしてそれは、大人になったときの未来なのかも?と考えたりもしていました。いま思うとあれは芸術だったんだと思います。いまでもゴッホとか寺山修司とかレオス・カラックスとかと同じ存在だと思っています。そして最高のバンドです。
▼Qomolangma Tomatoの作品を紹介。
2009年作『camouflage』(AVOCADO)