リクエスト・ライブラリーで男優研究はいかが?
発売元の20世紀FOXには確認はしていないけれど、多分このシリーズにリクエストしてくれているのは、圧倒的に男性が多いのではないでしょうか?その証拠に第1弾を振り返っても『北国の帝王』や『ワーロック』『折れた槍』(西部劇が4作品も)など男臭い、女性はちょっと引いてしまう映画の塊でしたね。その魅力はなんといっても男優に負うところが大きいでしょう。『北国~』のリー・マーヴィンやアーネスト・ボーグナインは当然のことながら、『悪の花園』でのリチャード・ウィドマークのクセ者ぶりなどを確認すると、本当に唸ってしまいます。
そこで今回は4月23日発売の4作品に登場する男優とその魅力を少しだけご紹介したいと思います。66年製作の『さらばベルリンの灯』からはアレック・ギネスとマックス・フォン・シドー、69年製作『ゼロの決死圏』はグレゴリー・ペック、73年製作『マシンガン・パニック笑う警官』はウォルター・マッソーとブルース・ダーンという渋いところ。そして最後は74年製作の『オスロ国際空港ダブル・ハイジャック』のショーン・コネリーという映画ファンならお馴染みの面々が登場ではないですか!
アレック・ギネスはイギリス人、マックス・フォン・シドーはスウェーデン人と、ハリウッドで活躍しながら本来は欧州を代表する名優の二人。その二人の豪華共演となったのが『さらば~』であり、今回のリクエスト・ライブラリーでは『ゼロ~』と同じく祝福すべき初ソフト化というファン待望の発売なのです。
この2本には大変興味深い共通点があります。それは混迷の60年代を象徴するような『ネオナチ』(『さらば~』の題材)『スパイ』『東西冷戦』などのキーワードが満載ということですね。そして『ゼロ~』主演のペックには、ネオナチ映画の決定版ともいうべき『ブラジルから来た少年』があったりと、いかにこの時代のハリウッドでの映画化には、この手のものが格好な題材だったかがわかります。話はちょっと逸れますが、『ブラジル~』は残念ながら日本では未公開作品です。今からでもいいので〈午前十時の映画祭〉で同じく未公開の『ブラックサンデー』と共に初上映してくれませんかねぇ。
他にペックの異色作は『頭上の敵機』の冷徹な軍人、『白鯨』のエイハブ船長、そして悪魔の子ダミアンと対決する『オーメン』でしょうか。ビリー・ワイルダー作品で喜劇俳優のイメージが強いウォルター・マッソーですが、この『マシンガン~』と『突破口』『サブウェイ・パニック』の3本は全く違う魅力です。そして今やローラ・ダーンのお父さんと呼ばれるブルースの出世作はジョン・ウェインを後ろから撃った『11人のカウボーイ』、代表作は『帰郷』と『サイレント・ランニング』。1971年の『盗聴作戦』でようやく素の頭髪を露にしたショーン・コネリーは、この『オスロ~』や『未来惑星ザルドス』で髭も生やし、全くジェームズ・ボンドと異なるセクシーガイ路線を突き進むことになるのです。
どうですか、たっぷり(とはいかないか)男の匂いを満喫いただけましたでしょうか…。