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長田進

ここ数年のGRAPEVINEとの蜜月

連載
360°
公開
2010/06/25   20:03
更新
2010/06/25   20:04
ソース
bounce 322号 (2010年6月25日発行)
テキスト
文/金子厚武

 

ここでは『MALPASO』の制作へと至る直接的な要因となったGRAPEVINEとの仕事を振り返ってみよう。Dr.StrangeLoveで活動を共にする根岸孝旨の跡を引き継ぐ形で長田がプロデュースを務めるようになったのは7作目の『deracine』(ポニーキャニオン、以下同:1から。とはいえ、この時は10曲中4曲のプロデュース/編曲に携わっているだけで、本格的にプロデューサーとして関わるのはバンドのメジャー・デビュー10周年の年に発表された『From a smalltown』(2)からと言えよう。ここでは長田の提案によってセッションでの曲作りを採用し、その成果がオープニングを飾った“FLY”などに表れている。またこの路線をさらに突き詰めたのが『Sing』(3)で、この時期は練習すらろくにしないままに録音が進められたという。しかし、その方法論がシンプルで生々しいバンドの魅力を見事に引き出し、またタイトル通りに存在感を増した田中和将の歌の力もあって、本作を彼らの最高傑作とする声も多い。さらに、最新作『TWANGS』(4)ではセッションでの曲作りと並行して、デモの時点から作り込んだ多彩なアレンジの楽曲も制作。オルタナ、サイケ、カントリーを横断し、ストリングスをフィーチャーするなど新境地を示す作品となっている。

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から『deracine』(1)、『From a smalltown』(2)、『Sing』(3)、『TWANGS』(4)