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HAIR METAL

II それでは実際に聴いてみよう!――(1)

連載
Di(s)ctionary
公開
2010/09/28   19:21
更新
2010/09/28   19:22
ソース
bounce 324号 (2010年8月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/増田勇一

 

MOTLEY CRUE 『Too Fast For Love』 Elektra/Motley/Eleven Seven(1982)

このムーヴメントについて語るうえで誰よりも欠かせない存在。最大の成功作は『Dr. Feelgood』(89年)ですが、本デビュー作こそ毒と華、過激さと甘酸っぱさを兼ね備えた彼らの特性を象徴していると言っていいでしょう。

RATT 『Invasion Of Your Privacy』 Atlantic(1985)

モトリー・クルーと双璧を成した5人組のデビュー作。特徴的なリフと、誰の耳にも一聴でわかるスティーヴン・パーシーの声が最大の武器。初期の2作品ばかりが名盤と崇められる傾向にありますが、今年発表された11年ぶりのニュー・アルバム『Infestation』も秀逸です。

DOKKEN 『Under Lock And Key』 Elektra/Flashback(1985)

ドイツ出身のドン・ドッケンを中心とする4人組の3作目。楽曲面での充実が素晴らしい。看板ギタリストであるジョージ・リンチの名言に、「80年代は妻の服を借りていたが、90年代には息子の服を借りるようになった」というのがあります。

BON JOVI 『7800° Fahrenheit』 Mercury(1985)

いまやメタルの範疇で語ることすら難しいジョン・ボン・ジョヴィも、この2作目当時は完全にヘア・メタル野郎でした。が、この時代を経て〈本当の自分〉を発見することになったからこそ、次作の『Slippery When Wet』という決定打が誕生したのです。

LOUDNESS 『THUNDER IN THE EAST』 Atco/ワーナー(1985)

卓越した演奏技術で世界を唸らせた日本の先駆者。本作は全米チャートでも大健闘し、ツアーではモトリーとのマディソン・スクエア・ガーデン公演も体験。彼らのような実力派ですら、髪型や衣装に気を遣う必要があった時代、それが80年代なのです。

OZZY OSBOURNE 『The Ultimate Sin』 Epic(1986)

闇の帝王、オジー・オズボーンがいちばんヘア・メタルだった時代の一枚。ハートの作品を成功に導いたロン・ネヴィソンをプロデューサーに迎えるなど、完全に当時の音楽ファンのニーズを踏まえた作風です。ちなみに、シングル曲の邦題は〈暗闇にドッキリ〉。