NEWS & COLUMN ニュース/記事

HAIR METAL

III その後の流れと以降のシーンに与えた影響力

連載
Di(s)ctionary
公開
2010/09/28   19:21
更新
2010/09/28   19:22
ソース
bounce 324号 (2010年8月25日発行)
テキスト
特別講師/増田勇一

 

ヘア・メタル黄金時代は、90年代初頭のグランジの台頭と共に終焉を迎えました。が、その影響はさまざまに形を変えながら継承されています。近年、わかりやすいところではスティール・パンサーの存在が目につきますが、ここではレックレス・ラヴのような若手がフィンランドから登場している事実に注目しましょう。同郷のハノイ・ロックスがかつてヘア・メタルに影響を与えた存在であるという事実を考え合わせると興味深いですね。

米国について言えば、例えばバックチェリーやアヴェンジド・セヴンフォールドもこの流れの後継者と解釈可能。意外なところで、マイリー・サイラスが新作『Can't Be Tamed』でポイズンをカヴァーしていたり、アダム・ランバートがヘア・メタルからの影響を認めていたりもします。さらに、モトリー・クルーのヴィンス・ニールは自身のルーツ丸見えの新作『Tattoo's & Tequila』を発表したばかり。彼をはじめとする創始者がシーンに共存しているところもポイントでしょう。そして、日本。サッズやVAMPSが最近のライヴでモトリーのカヴァーを演奏している事実が偶然なのか必然なのかはともかく、わが国で人気のアーティストの多くも、この種の音楽から甚大な影響を受けていることは疑う余地もありません。こうして現在も脈々と受け継がれているヘア・メタル。もしかするといま、新たな黄金時代が訪れようとしているのかもしれません。

 

▼関連盤を紹介。

左から、レックレス・ラヴの2010年作『Reckless Love』(Universal)、マイリー・サイラス の2010年作『Can't Be Tamed 』(Hollywood)、アダム・ランバートの2009年作『For Your Entertainment』(19/RCA)、サッズの2010年作『THE 7 DEADLY SINS』(avex trax)

記事ナビ