多様化および巨大化したエモは、いまや音楽シーン全体にさまざまな形で影響を与えています。その最たる例が、ケイティ・ペリーやケシャを筆頭にビッグネームとの仕事が増えたブッチ・ウォーカー、サム&スラッゴでしょう。彼らはもともとエモ系の作品を多数手掛けていたプロデューサーなんですよ。加えて、ルーペ・フィアスコ『The Cool』にフォール・アウト・ボーイのパトリック・スタンプがプロデューサーとして関与していたり、B.o.Bの“Airplane”にパラモアのヘイリーがゲスト参加していたり、ヒップホップ勢との交流もますます盛んになっている様子。また、大ヒット映画「トワイライト~初恋」の主題歌にパラモアが起用されたほか、ティーム向けの映画やドラマでも最近はエモ系の楽曲をよく耳にします。「アリス・イン・ワンダーランド」から派生したコンピ『Almost Alice』は収録アーティストの半数がエモ・バンドでしたよね。
そして、エモ・シーンは現在もフレッシュなアーティストの活躍と共に発展を続けています。昨年全米No.1ヒットを飛ばしたアウル・シティや〈クランクコア〉を標榜する3OH!3らはエモを出自としながら、痛快なまでにその枠組みを突破。また、テイラー・モムセン(プリティ・レックレス)やジュリエット・シムズ(オートマティック・ラヴレター)らの〈ポスト・ヘイリー〉な姫たちもブレイク目前です。そんなわけで、いまや何でもありの多彩さがエモの大きな魅力と言えますね。
▼関連盤を紹介。
左から、ケイティ・ペリーの2008年作『One of The Boys』(Capitol)、B.o.Bの2010年作『B.o.B Presents: The Adventures Of Bobby Ray』(Rebel Rock/Grand Hustle/Atlantic)、アウル・シティの2009年作『Ocean Eyes』(Universal Republic)、3OH!3の2010年作『Streets Of Gold』(Photo Finish/Atlantic)、オートマティック・ラヴレターの2010年作『Truth Or Dare』(Epic)