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Tower to the People[3] FUSION & HIP HOP

12月22日にリイシューされた12枚はこちら!!――(2)

連載
タワレコ良盤発掘隊
公開
2011/02/15   13:52
更新
2011/02/15   13:53
ソース
bounce 328号 (2010年12月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/鈴木智彦(副隊長)

 

THE PHARCYDE 『Bizarre Ride II The Pharcyde』 Delicious Vinyl/ワーナー(1992)

西海岸ヒップホップの歴史に新たな1ページを加え、RIP SLYMEやジュラシック5ら数多くのフォロワーを生んだファーサイド。4MC+1DJの織り成すバック・トゥ・オールド・スクールで柔軟な感性に、世界中のヒップホップ・ファンをビックリ仰天させたファースト・アルバムがこれだ。当時の東海岸で最先端だったスタイル(ニュー・スクール)と比べても遜色がないどころか、それらを優に凌いでさえいた創造性とクォリティーは20年近い時を経てもフレッシュそのもの!

BRAND NUBIAN 『One For All』 Elektra/ワーナー(1990)

グランド・プーバやサダト・Xらの人気者を擁する3MC+1DJのフレキシブルなスタイルで、5%ムスリムの思想をストリートの仲間たちに向けて発信したファースト・アルバム。メッセージ色は濃いもののそこに偏るのではなく、ラガマフィンからコミカルな集団MCが繰り広げる寸劇スタイルまでラップ表現の多彩さと楽しさは群を抜いている。ニュー・スクール感覚を満載したサウンドの魅力も含めて、エンターテイメント作品としても一級品だ。

QUEEN LATIFAH 『All Hail The Queen』 Tommy Boy/ワーナー(1989)

現在も女優/エンターテイナーとして活躍する彼女のファースト・アルバム。師匠のDJマーク・ザ・45キングを筆頭に、プリンス・ポール、ダディ・Oら多彩なプロデューサーを迎え、デ・ラ・ソウルやモニー・ラヴの登場も話題を呼んだ。メンツの華やかさを反映したカラフルな表現が楽しめ、説得力のあるメッセージ色の濃いライミング、すでに貫禄すら漂わせる余裕のフロウ、ストリート・パーティー感覚満載のオールド・スクール・マナーなビート、すべてが秀逸!

DE LA SOUL 『Stakes Is High』 Tommy Boy/ワーナー(1996)

盟友プリンス・ポールの手を離れ、17曲中14曲をセルフ・プロデュース(表題曲はJ・ディラと共同プロデュース)した4作目。シリアスで内省的な雰囲気のサウンド・プロダクションの随所にさまざまな創意工夫が盛り込まれる一方、創造的なライミングとフロウを敷き詰めたラップは説得力と重厚さとダイナミズムを増し、まさにグループの円熟を強く感じさせる。ヒップホップ・サイエンスがギッシリ詰まったこのアルバムを彼らの最高傑作と呼ぶファンも多数(同意!)。

NAUGHTY BY NATURE 『Naughty By Nature』 Tommy Boy/ワーナー(1991)

ヒップホップと共に育った〈ヒップホップ・ジェネレーション〉第1世代から飛び出した、ニュージャージーのスーパースター・トリオ。2パックとの厚い親交でも知られたトレッチのガッツと詩情を併せ持ったハードコアなライミングとフロウ、思わずみんなで歌いたくなるキャッチーなフック、身体が自然に踊りだすジャクソン5やボブ・マーリーなどのポップなネタ使いを多用したバウンシーなサウンド・プロダクションが受けて破格のヒットを記録!

DIGITAL UNDERGROUND 『Sex Packets』 Tommy Boy/ワーナー(1990)

サンプリング・ソースとしてだけでなく、コミカルながらも不穏さを纏ったクールな諧謔精神も含めて、Pファンク世界をヒップホップの手法で再現してみせた画期的な作品。フロントマンであるハンプティ・ハンプことショックGのユーモラスなキャラ立ち、チョップマスターJやピアノ・マンらによるファンク・バンド的な味付け、ロウ・フュージョン(マネーBとDJフューズ)のコンビが醸し出すドープなヒップホップ感覚、すべてが秀逸!

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