アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載!! SISTER JETの〈第12回〉!!!
[ 今月のテキスト ] THE TEENAGERS 『Reality Check』 XL
夕刻、帰りの井の頭線で吉祥寺に向かう途中でありました。
中学3年生くらいと思われる若い4人組が乗ってきたのであります。
男3、女1。
ファッションは、若気の至りで派手めの幼稚な感じ。
まだ親に〈床屋に行け〉と言われて美容院に行く手前の段階で、
精一杯のオシャレをしている垢抜けない風貌。
蒼い思春期まっただなか、若葉の頃であります。
女の子はなにか魅力的な娘、男心をくすぐる天性のマドンナ・タイプ。
男は3人並列、特にズバ抜けたヤツはいない。
どういう関係なのか気にして観察していると、
一人のメンがマドンナの腰に手を回しているじゃあないか。
次第にスキンシップは加速していき、電車のなかでイチャイチャする始末。
他の2人のメン(&俺)は完全においてきぼりです。
少し羨ましそうな、男独特の爽やかな嫉妬と劣等感。
まだそれが、その感情が一体なんなのかわからず、
初めて襲われる感覚に子供から大人へのステップを昇る、他2人のメン。
マドンナを見事手中に収めている彼は、まったくの健康そうな男子(ちょいグレ野球部風)。
他2人のメンよりはもう、何歩もリードしている感じ。
……早熟であります。
しかし、
そんな
彼だって。
これからさらなるステップが待ち受けているはずであります。
高校生になったマドンナはさらにキレイに、モテるようになり、
おそらくこの先、また新たな恋をするでしょう。
そのとき、彼は身を焦がすような嫉妬を覚え、
コントロールできない程の怒りを、
マドンナのことを愛したぶんだけ憎しみとしてぶつけることになるかもしれません。
そんな蒼い4人組。
さて、他2人のメンはちょっと寂しそうに一人ずつ降りていって、
ちょいグレ野球部風とマドンナは2人きりになりました。
そのとき、ちょうど特快電車が向かいのホームにきて、
僕もそちらに乗り換えました。
あの2人は仲良く寄り添っていましたが、
いずれはどちらかが先に、どこかの駅で降りるときがくるかもしれません。
多くは、そのときが遠からずくることがほとんどだと思います。
それをまだ知らない2人。
僕は少し羨ましく思いました。
そのとき、
携帯プレイヤーからシャッフルで流れてきた曲が、ティーンネイジャーズ“Feeling Better”。
PROFILE/SISTER JET
WATARU.S(ヴォーカル/ギター)、SHOW SKB(ベース)、KENSUKE.A(ドラムス)から成るレペゼン福生の3ピース・ロック・バンド。セカンド・フル・アルバム『LONELY PLANET BOY』(felicity)を引っ提げたワンマン・ツアー〈LONELY PLANET BOY TOUR〉を実施中の彼ら、明日4月1日(金)には東北地方太平洋沖地震の影響で公演延期となった仙台において、フリーライヴを行います。また〈CHANNEL P-VINE〉ではすでに開催された3公演のライヴ映像〈come together LONELY PLANET BOY TOURそれいけ! シスタージェット 「La La Dance×アンパンマン smile mix ver.」〉も公開中! そんな3人のブランニューな情報については、こちらをご覧ください。