そもそもマック10は、ダ・レンチ・モブやカム、ヨー・ヨーらを輩出したアイス・キューブ率いるレンチ・モブ軍団の構成員として本格的なキャリアをスタートさせている。ソロ・デビュー・アルバム『Mack 10』(95年)のリリースで早々とブレイクした彼が軍団の稼ぎ頭として台頭したことで、キューブが西のヴェテラン・WCと共に結成したウェストサイド・コネクションにも大抜擢され、共に西海岸シーンをレペゼンしていたのだが、現在はキューブらとは微妙に距離を置いて独自の道を行き、しばらく休眠状態だった自身のレーベル、フー・バンギンの再編に力を入れているようだ。
一方のキューブはここ数年、みずから設立したレンチ・モブ・レコーズにアーティスト活動の拠点を置き、メジャーを離れてインディペンデントへシフト。そこから昨年リリースした最新作『I Am The West』には、クルーの構成員でもある愛息のOMGやドーボーイらが参加していた。そんなキューブやマック10の動きに鼓舞されるかのように御大WCも重い腰を上げて自身のレーベル(!)、ビッグ・スワングを設立。レンチ・モブとのダブルネームでリリースされた待望の新作『Revenge Of The Barracuda』ではワン・アンド・オンリーの大味(ホメ言葉)ウェッサイ・スタイルを貫ろ、衰えぬ老獪なスピットを披露。先行曲“You Know Me”にはレンチ・モブ・ファミリーからキューブとヤング・メイレイをフィーチャーし、クルー作品ではお馴染みのプロデュース・チーム、ホールウェイ・プロダクションズもアルバムに名を連ねている。
▼関連盤を紹介。
アイス・キューブの2010年作『I Am The West』、WCの2010年作『Guilty By Affiliation』(共にLench Mob)